【慶大×田村市】レース、空撮、地域課題… 船引高ドローン講座、第2フェーズに

【慶大×田村市】レース、空撮、地域課題… 船引高ドローン講座、第2フェーズに

 慶應義塾大学からドローンの指導を受けている福島県立船引高校の特別講座が20日、新たなフェーズに入った。レース、空撮、地域課題の3チームに分かれ、これまでの基礎知識や基礎練習を、実践で活用していくことになる。


 この日の第3回特別講座は、午後3時45分から、雪が舞う中、船引高校の体育館で開催。ホバリングなど基礎練習で振り返りを行ったあと、3チームに再編成された。この日の出席者27人は、レース班に12人、地域課題班に7人、空撮班に8人に分かれ、本格的なドローンの活用局面に入った。
 空撮チームには、慶大慶大ドローン社会共創コンソーシアムのメンバーで、撮影のスペシャリストの本白水智也氏が直接指導。このチームは、撮影した作品をコンテストに出品する目標を掲げているため、本白水さんは、「作品づくりには段取りが大切になります」と、段階に分けて解説した。

第3回ドローン特別講座は雪の降る体育館で行われた=1月20日、福島県田村市の県立船引高校の体育館

ドローンの取り扱いを学ぶ生徒たち。体育館には大型の暖房機具が数台設置された、

練習中は体育館内のいたるところでドローンが飛ぶ。この瞬間はもしかしたら、日本で一番ドローンの飛んでいる体育館かもしれない

 本白水さんは、作品づくりの土台となる「企画書」の重要性を説明。「作品は、見てもらった方に、何かを伝えるものです。みなさんが、その作品でどんなことを伝えたいのかを考えてみてください。おそらく、いろいろと伝えたいことを、お持ちだと思います。まずはそれを出し合ってみて、今回の作品では、どんな人に、なにを伝えるのかを決めてください。そして、いつまでに作るか、どこで発表するのか、テーマは何かを決めていきましょう」と丁寧に説明した。
 さらに本白水さんは、空撮作品をイメージしやすくするために、定評がある空撮動画作品を生徒と鑑賞。生徒たちは真剣に見入り、ある生徒は重要なことを忘れまいとメモをとっていた。

空撮とはどんなものか。作品を鑑賞しながらイメージをつかむ

一言も聞き漏らすまい、とくらいつく視線。メモを取る手にも真剣さが宿る

空撮作品をつくるうえで、まず大事なのが企画書。そもそも撮影前に「企画書」が必要ということが、生徒によっては新事実だったかもしれない

 なお、レースチームの指導は、特別講座の主任指導員でもある南政樹政策・メディア研究科特任助教、地域課題解決班の指導には、慶大ドローン社会共創コンソーシアムのメンバーでもある株式会社スペースワン代表取締役の小林康宏氏。県立高校にドローンを指導するだけでも珍しい取り組みだが、指導陣が、その道の一流のスペシャリストが集まっていることがさらにその付加価値を高めている。
 今後、3班がそれぞれの専門領域でドローン利用を具体化させる。
 この日の講座の様子は、慶大と連携協力協定を締結した田村市の冨塚宥暻市長が視察に訪問。基礎練習時に生徒たちが自由にホバリングさせている様子を見て、「上達の早さに目を見張るものがある」と目を細めていた。
 「生徒達がドローンを運航させる正しいルールを高校のうちに学んでおくことは、近い将来必ず役にたつ。役に立てば、それを学べる船引高校や田村市といった地元に誇りが持てる。ドローンには今も『危険』のイメージを持つ人がいるが、いつまでも危険と遠巻きにしているだけでは役に立てることができるものも役立てられない。ルールを知り、安全な操縦方法を理解すれば危険でないことは、いま学んでいる生徒たちが一番、知っていることだろう。事実、この体育館の中には、ドローンが危険であると感じている人は誰もない。南先生がいつも言っているように、ここで指導をうけた生徒が、後輩を指導していけるようになると、正しい理解が伝えられる」(冨塚市長)。
 この日の講座は、地元農業関係者、金融機関関係者、田村市役所関係者も視察するなど、域内での関心の広がりを物語った。
 冨塚市長はドローンの利活用について、「アイデアとしては幅広い可能性が出ている。用水路に発生する害虫の駆除に活用できるかもしれないなど具体的な話も浮上しており、今後具体化させるときが来る。また現在の高校生への指導を、小中学校にも拡大したい」と意欲を見せていた。

冨塚宥暻市長がこの日のドローン特別講座を視察。1か月前の、昨年12月21日にも、慶大との連携協力協定締結後の講座を視察している

レースを選択した生徒たち。南政樹政策・メディア研究科特任助教の指導でレーサーを目指す

地域課題解決を選択した生徒は小林康宏さんのまわりに集まり、ドローンの扱いについて話を聞く。スペシャリストの指導を直接受けられることも、この特別講座の大きな特徴だ

この記事のライター

関連する投稿


【東日本ドローンサミット】慶大・南政樹氏による「ドローン×災害対応・復興支援」 復興の重要拠点だったJ-ヴィレッジで開催

【東日本ドローンサミット】慶大・南政樹氏による「ドローン×災害対応・復興支援」 復興の重要拠点だったJ-ヴィレッジで開催

 東日本ドローンサミットでは、災害対応、復興支援にドローンがどう使えるのかを検証するセッション「ドローン×災害対応。復興支援」も行われる。東日本大震災の復興拠点となったJ-ヴィレッジで、震災時のドローン活用を、慶大ドローン社会共創コンソーシアム副代表、南政樹氏とともに考える貴重な時間となる。


【慶大ドローン】ドローンレースチームDMM RAIDEN RACINGが登壇 資金も客も集まるリアルな欧州事情など紹介

【慶大ドローン】ドローンレースチームDMM RAIDEN RACINGが登壇 資金も客も集まるリアルな欧州事情など紹介

 ドローン研究に力を入れている慶應義塾大学で、プロドローンレースチーム「DMM RAIDEN RACING」の選手らが教壇に立った。大学院生向けのKPMGコンサルティングによる寄附講座「eSports論」の一環で、最年少の中学生、鈴木匠選手ら3人が、世界を転戦した感想や、世界と日本のレース環境の差について説明した。


【慶大ドローン】レースチームRAIDENの中学生選手らが慶大院で講義 KPMG寄附講座「eSports論」で

【慶大ドローン】レースチームRAIDENの中学生選手らが慶大院で講義 KPMG寄附講座「eSports論」で

 ドローン研究、教育、社会実装に力を入れている慶應義塾大学が、大学院の講義に、ドローンチーム「DMM RAIDEN RACING」を招いた講義を行う。KPMGコンサルテフィングの寄付講座「eSports」の一環で、チームに所属する中学生プロレーサー、鈴木匠選手も大学院生を前に話をする予定だ。


国内初 ドローンで補助者なし「目視外」荷物輸送 福島 郵便局間9キロを16分【動画】

国内初 ドローンで補助者なし「目視外」荷物輸送 福島 郵便局間9キロを16分【動画】

日本郵便は7日、小型無人機「ドローン」を使った荷物輸送を福島県内の郵便局間で行った。操縦者が機体を視認できない範囲で運行する「目視外飛行」で、補助者をつけず航行したのは国内では初めて。南相馬市と浪江町の郵便局間の約9キロを、16分で飛行した。


川俣高校の生徒11名が参加、「川俣町ドローンスクール」を開催 福島県・川俣町の新産業を高校生が創造

川俣高校の生徒11名が参加、「川俣町ドローンスクール」を開催 福島県・川俣町の新産業を高校生が創造

川俣高等学校(福島県伊達郡川俣町)で、 9月26日に第1回目となる「川俣町ドローンスクール」を開催。


最新の投稿


米国最大の警察(NYPD)が、FLYMOTIONの支援でドローンプログラムを開始

米国最大の警察(NYPD)が、FLYMOTIONの支援でドローンプログラムを開始

2018年12月6日-フロリダ州タンパ。ドローンソリューションを提供するFLYMOTION社(米国)は、米国最大の警察署(NYPD)と協力して「犯罪と戦うドローン」の導入を支援したと発表した。


岩手県ドローン協会などがDJI社製「QS8」による孤立病院への救援物資輸送実験実施

岩手県ドローン協会などがDJI社製「QS8」による孤立病院への救援物資輸送実験実施

災害により孤立した病院を想定、ドローンによる救援物資の輸送実験を実施。物資搬送用ドローンとして、DJI JAPAN、スカイシーカー、東京都あきる野市が共同開発した「QS8」を採用した。


テラドローン、豪のC4D Intelを買収、新会社Terra Drone Australia設立 海外拠点10社に

テラドローン、豪のC4D Intelを買収、新会社Terra Drone Australia設立 海外拠点10社に

テラドローン株式会社(東京都渋谷区)は、 欧州・アフリカ支社に続き、 C4D Intel(豪) に大型出資契約の締結を完了、 鉱業分野、 オイル&ガス等エネルギー分野のドローン活用拡大を目指す新会社Terra Drone Australiaを設立したと発表した。


バヌアツ、83の島々の子どもたちにワクチンをドローン輸送 試験運用実施

バヌアツ、83の島々の子どもたちにワクチンをドローン輸送 試験運用実施

バヌアツの保健大臣のノリス・ ジャック・カルメは、 同国の島々に住む子どもたちにワクチンを届ける、 ドローンによる輸送試験が公式に開始されたと12月5日、発表した。


サン電子とドコモ、5GとARスマートグラスを活用したドローンの遠隔支援で実証実験開始

サン電子とドコモ、5GとARスマートグラスを活用したドローンの遠隔支援で実証実験開始

 サン電子株式会社と株式会社NTTドコモ東海支社は、第5世代移動通信方式(5G)と、サン電子のARスマートグラス「AceReal One」を活用したドローンの遠隔支援などの実証実験を12月4日から開始した。