【基調講演】ドローンが切り開く日本の地方創生
ドローン議連の会長代理を務める田中和徳衆議院議員が、基調講演に登場して「ドローンが切り開く日本の地方創生」について、自身の取り組みや議員連盟の設立などを講演した。田中議員は、平成27年の4月22日に首相官邸の屋上で小型無人機が発見されたときに、国会の議員室から目撃した経験があるという。その2日後には、小型無人機に関する関係府省庁連絡会議が設立された。そして、9月に改正航空法が公布され、12月10日に施行された。
「ドローンは、空の産業革命という、新たな可能性を秘めた技術です。政治的にも強力にバックアップすることが重要で、官民が強固に連携し、民間の意見が政府の制度設計に円滑に反映される必要があります」という考えのもとに、田中議員が主導して、平成28年4月に無人航空機普及・利用推進議員連盟(通称ドローン議連)を結成した。ドローン議連による第1回の活動では、関係省庁から現状の取り組みについてヒアリングを行っている。その後、5月に2回目のヒアリングを行い、ドローン製造・販売メーカーや関係団体から情報を集めている。そして11月の第3回では、関係省庁から平成29年度の概算要求についてのヒアリングを実施している。
「世界市場は、2020年に6,600億円を超える規模になると予測されています。日本も、2020年には200億円弱の市場に、さらに2030年には1,000億円を超える見込みです。この市場の9割以上は、ドローンという機体の売上ではなく、それを使ったサービスが占めると予想されています。そのために、具体的にドローンを利活用したサービスを社会に実装していくことが鍵」と田中議員は指摘する。そして日本における実証実験やロードマップなどについて紹介した後、田中議員は「日本として目指すべきものは、国内外におけるドローン市場の拡大と、『日の丸』ドローンの振興に向けた環境の整備」にあると提唱する。その一例として、海外で生産されているドローンにも、日本製の炭素繊維やモーターに光学センサーなどが採用されている事実を示し、日本の技術力を活かして、世界に飛躍するドローンメーカーの育成が必要だとも訴える。
「ドローンの利活用の分野では、安倍総理の指示にもとづいて、2018年頃までにドローンを活用した荷物配送の実現に向けて、やれることは何でもやっていきます。ドローンを使った離島や山間部への荷物配送など、日本の地方から世界に飛躍するドローン産業を興していくことが重要」と田中議員は提言した。講演の最後に「ドローンは規制をすればいいのではない。規制を最小限にして、産官学でドローンを利活用される人たちの思いを反映した社会にして、振興を図っていくべきだと思っている。そのために、ドローン議連が窓口となって、多くの人たちの意見を政府に働きかけたい。また、マスコミでもドローンの状況について、より多く取り上げてもらうことで、国民の理解も深まる」と語った。