三菱商事と日立製作所による新会社スカイマティクス、ドローンのリモートセンシングで農業や建築分野に新たなサービスを提供

三菱商事と日立製作所による新会社スカイマティクス、ドローンのリモートセンシングで農業や建築分野に新たなサービスを提供

「空から無限の情報を。」というキャッチフレーズを掲げる株式会社スカイマティクス(本社:東京、代表取締役COO:渡邉善太郎)は、三菱商事株式会社と株式会社日立製作所の出資により設立された新会社。同社はドローンによるリモートセンシングサービスで、農業や建築分野へのソリューションを提供していく。(田中亘)


ドローンの飛行からデータ解析までをワンストップで提供

 スカイマティクスのCOOを務める渡邉氏は、1998年に三菱商事が設立した日本スペースイメージング株式会社で、衛星画像ビジネスに携わってきた。同社には、2013年に日立製作所が資本参加し、ITを活用した事業を展開してきた。渡邉氏は「衛星画像は高価なので、日本では産業用途には普及してきませんでした。そこで、ドローンによるリモートセンシングならば、農業や建築などの分野で、ソリューションを提供できると考え、ワンストップでサービスを提供できる新会社を設立しました」と設立の背景を語る。SkymatiXという社名は、空(Sky)と情報科学(informatics)と無限(X)を組み合わせた造語。その意図が「空から無限の情報を。」というキャッチフレーズと、Remote Sensing as a Serviceというワードに込められている。
 「いまの業界は、ドローンを作る会社とAIやIoTを専門に扱う会社が、それぞれに事業を展開しているので、ユーザーは自分で個別に選ばなければなりません。ここに私たちは解決策を見出していきたいのです。ドローンの提供やフライトから、リモートセンシングで収集したデータの解析と可視化までをクラウドとAIを活用して、ワンストップで実現するソリューションを提供します」と渡邉氏。

スカイマティクス代表取締役COOの渡邉善太郎氏

農業、建設、プラント、資材管理に向けた製品を販売

 スカイマティクスでは、2017年に農業や建設にプラントや資材管理などの用途に向けた製品の販売を計画している。そのサービスのイメージは、同社の動画に集約されている。タブレット端末から田圃や鉱山や資材置き場などのエリアを選択すると、ドローンが自律飛行でリモートセンシングを行い、データをクラウドに送りユーザーに必要な解析結果を伝える。
 このサービスを実現するために、同社では株式会社プロドローン(本社:愛知県、代表:河野雅一)に機体の開発を依頼し、出資もしている。プロドローンを選んだ理由について、渡邉氏は「産業用のドローンは、用途に合わせたカスタマイズが求められます。私たちが国内の開発元をリサーチした結果、プロドローンの開発・製造技術が最適だと判断して、農業や建設に適したドローンを設計してもらうことにしました」と説明する。
 ドローンによる正確なリモートセンシングを行うためには、撮影対象となる現場に合わせたカメラを搭載して飛行する必要がある。それぞれの用途に合わせた違いがあるので、ドローンにもペイロードや飛行の安定性など、求められる条件が異なってくる。そうした違いに対応するためには、コンシューマ向けの汎用製品ではなく、カスタマイズあるいは専用設計の機体が求められるという。
 一方で、同社のイメージビデオに描かれている完全な自動化を実現するためには、機体の設計だけではなく、法制度の面からも解決しなければならない課題は多い。その点について渡邉氏は「目視外での自律飛行を実現するためには、実証実験を繰り返して技術的な課題をクリアしていくことと、産学官が協力して制度の整備やイノベーションを加速していく必要があるでしょう」と話す。

プロドローンによってカスタマイズされた機体

AIを活用した農業分野でのイノベーションを目指す

 ドローンによる空からのリモートセンシングをワンストップのサービスとして提供するために、同社では取得したデータを蓄積するデータプラットフォームとAIによる解析サービスにも取り組んでいる。この分野では、共同出資社の日立製作所から同社にCTOが常駐しているという。
 AIによる分析の一例として、渡邉氏は稲の葉色解析について触れ「例えば、熟練の農家であれば、空から撮影した葉色を見るだけで、その稲がきちんと生育しているか、病気にかかっているかが判断できます。その農家の知見を機械学習していくことで、次の年度からは葉色の違いを通知できるようになります。さらにAIによる学習が進めば、葉色の違う稲に対して、どのような対策を施せばいいのかを農業経験の浅い農業従事者に教えられるようになります」と話す。
 完全な自律飛行による空からのリモートセンシングサービスを目指す同社の今後の動向は、日本のドローン産業の可能性を測る上でも注目に値する。

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