360度のドローン動画で地方創生に貢献する「いやしのまど」(2)

360度のドローン動画で地方創生に貢献する「いやしのまど」(2)

鳥取県の西部にある大山を中心に、地方創生の一環としてドローンによる360度の全天球動画を製作した有限会社ジャプロ(本社:鳥取県、代表者名:幸形信之、以下ジャプロ)。今回は、その撮影秘話について、代表の幸形氏に聞いた。(田中亘)


360度の動画撮影に使用したドローンとカメラ

幸形氏が撮影に使用したドローンは、DJI JapanのInspire 1。この機体に、独自に設計し製作したアクセサリーを使って、360度カメラを取り付けている。搭載した360度カメラは、リコーのシータ(THETA)とサムスンのGalaxy Gear 360。どちらの360度カメラも、三脚などに取り付けるためのネジ穴があり、オリジナル製のアクセサリーで機体下部に固定する。しかし、その撮影方法には、二つの問題があった。
「ひとつの問題は、カメラを下向きに取り付けるので、映像が上下逆さまになってしまう点です。これは、撮影後に動画編集ソフトで修正して対応しました。もうひとつの問題が、ドローンの離着陸でした。カメラはドローンに付属のカメラよりも低い位置に固定しなければならないため、機体の脚よりも下になります。そのため、通常の地面から離着陸できないのです」
DJIのInspire 1は、付属のカメラの位置を基準に、離着陸時の脚が地面に設置するように設計されている。そのため、標準よりも低い位置に360度カメラを取り付けると、そのままでは地面に水平に置けなくなる。さらに、着陸時にも360度カメラが障害となって脚が接地しない。この問題を解決するために、幸形氏は離着陸用のカタパルトを考案した。
「ドローンに下駄を履かせるようなものです。テーブルを二つ置いて、そこにInspire 1を乗せることで、水平の状態から離陸できるようにしました。ただ、着陸には神経を使います。5m以上の風速があると、思い通りにカタパルトに着陸できなくなるので、慎重に操縦しました」と幸形氏は苦労を語る。

自作のカメラ用アダプタで360度カメラをドローンの下部に固定する

テレビ局の保有するDJI S1000も活用

小型のテーブルを並べて360度カメラが地面に接地しないように工夫

ドローンによる空撮では、DJI Inspire 1の他にも地元のテレビ局が保有するDJI S1000というプロフェッショナル向けの空撮用ドローンも利用している。
「撮影した大山の麓には、撮影許可などが必要なエリアもありました。そこで、申請などの手続きや手間を考えると、すでに空撮の実績もあり許可を取りやすいテレビ局に協力してもらうのが一番だと考えました。また、テレビ局には高性能なDJI S1000があったので、その機体の能力も試してみたかったのです」と幸形氏。
「いやしのまど」で提供されているドローン動画の中には、このDJI S1000を使ったものがある。動画は、360度で閲覧できるので、スマホを上空に向けるように傾けると、その機体も確かめられる。10月の時点では、まだ3点ほどしかドローン空撮動画は登録されていないが、今後も季節に合わせて撮りためた360度の空撮動画を提供していく計画だ。

自作のカタパルトからドローンを離陸させる様子

360度バーチャル田舎テラピー いやしのまど

http://iyashinomado.jp/

日本の田舎、大自然の中で撮影された360度パノラマ動画や写真をVRで楽しめる、癒しの動画・画像ビューアー

「いやしのまど」のホームページ

この記事のライター

関連する投稿


熱気に満ちた第5回ドローントークPIT「ドローン×ジモトノチカラ」 田村市、那賀町、skyerの取り組みは

熱気に満ちた第5回ドローントークPIT「ドローン×ジモトノチカラ」 田村市、那賀町、skyerの取り組みは

 ドローンタイムズは7月14日、「ドローン×ジモトノチカラ」をテーマに「第5回ドローントークPIT」を開催しました。異なる立場の論客3人が思いの込もった発表を披露すると、ファシリテーター・ササモモさんの問いかけをきっかけに、満席の客席から積極的な発言が相次ぎ、会場は異常なほどの熱気と笑顔で満たされました。


【東京で地方創生を考える】ドローンの利活用方法をみんなで考える第3回「ドロンソン」が東京都内で初開催

【東京で地方創生を考える】ドローンの利活用方法をみんなで考える第3回「ドロンソン」が東京都内で初開催

「東京で地方創生を考える」第3回ドロンソンが2月25日(土)東京都内で初開催。 ドローン体験会や参加者同士がチームになり、ドローンの利活用方法を考えるドロンソンを実施する。 これまでの最大規模の40名でドローンと地方の未来を考える。


「第2回ドローンタイムズセミナー」地方創生テーマに開催

「第2回ドローンタイムズセミナー」地方創生テーマに開催

ドローンが関わるテーマを掘り下げる「第2回ドローンタイムズセミナー~ドローンが切り拓く日本の地方創生」(主催・産経新聞社、日本工業新聞社、協力・一般社団法人日本UAS産業振興協議会、デジタルハリウッド)が12月9日に東京都内で開催され、産業、政治、行政、学問の各界からキーパーソンや論客が登壇し、最新事情を報告した。


360度のドローン動画で地方創生に貢献する「いやしのまど」(1)

360度のドローン動画で地方創生に貢献する「いやしのまど」(1)

2016年10月19日、Webサイトやアプリの企画制作を⾏う有限会社ジャプロ(本社:鳥取県、代表者名:幸形信之、以下ジャプロ)は、AR・VR 360度バーチャル田舎テラピー「いやしのまど」の最新版をリリースした。その映像の中で、ドローンを活用した360度のVR動画を提供している。(田中亘)


最新の投稿


エアロセンス、ビックカメラで産業用ドローン「AEROBO(エアロボ)の販売開始 9月26日から

エアロセンス、ビックカメラで産業用ドローン「AEROBO(エアロボ)の販売開始 9月26日から

エアロセンスは、同社で開発・製造・販売している産業用国産ドローン AEROBO®(以下エアロボ)と、GPS 搭載対空標識 AEROBO® Marker(エアロボマーカー)と、高速自動データ処理クラウド AEROBO® Cloud(エアロボクラウド)のパ ッケージを、ビックカメラで販売開始。


BUMP OF CHICKENの新曲「シリウス」MVにLEDビジョン×ドローンでCGを超えた光の演出

BUMP OF CHICKENの新曲「シリウス」MVにLEDビジョン×ドローンでCGを超えた光の演出

BUMP OF CHICKENは、 9月24日、 Digital Single「シリウス」の配信と同時にミュージックビデオ(MV)を公開しました。ミュージックビデオでは LEDビジョンなどの最新照明やドローンによる空撮を活用し、 生の演出とは思えない美しく神秘的な映像を実現した。


川俣高校の生徒11名が参加、「川俣町ドローンスクール」を開催 福島県・川俣町の新産業を高校生が創造

川俣高校の生徒11名が参加、「川俣町ドローンスクール」を開催 福島県・川俣町の新産業を高校生が創造

川俣高等学校(福島県伊達郡川俣町)で、 9月26日に第1回目となる「川俣町ドローンスクール」を開催。


DJIが空撮カメラマンの匠(Master)に写真家で映画監督のヤン・アルトゥス・バートランド氏を任命

DJIが空撮カメラマンの匠(Master)に写真家で映画監督のヤン・アルトゥス・バートランド氏を任命

ドローンメーカーのDJI(中国)は、写真家で映画監督のヤン・アルトゥス・バートランド(Yann Arthus-Bertrand)氏をDJI Master(匠)に任命した。世界で最も熟練したイメージング・パイオニアとして、他に2名の匠も任命している。


「あおもりドローン利活用推進会議」27日に発足会見 Drone Fund新共同代表の大前創希氏も登壇へ!

「あおもりドローン利活用推進会議」27日に発足会見 Drone Fund新共同代表の大前創希氏も登壇へ!

 青森県のドローン関連事業者、研究者らが中心となってドローン関連の産業振興を目指す「あおもりドローン利活用推進会議」が発足することになった。9月27日に青森公立大学(青森市)で報道関係者向けの記者会見を開く。当日はドローンの第一人者で、Drone Fundの新共同代表である大前創希氏も登壇する。