事故原因究明、再発防止のために、状況を把握できる制度を新たに設置
国交省は、2015年12月の改正航空法の施行以降、ドローン(200g以上)の普及に伴い事故やトラブルが増加傾向にあることから、安全対策の強化を目的に、事故発生時の報告を義務付け、操縦者への聞き取りや立ち入り検査がおこなえるよう航空法改正を視野に検討をすすめ、通常国会に法案提出をする方針としている。現行では警察の捜査と別に、同省が操縦者から報告を求める規定はない。同省は、事故の原因究明、再発防止のために、状況を把握できる制度が必要と判断した。また同法案には、飛行前の機体点検の義務や、操縦士が飲酒しての飛行の禁止についても加えられる見通しとなっている。
同省はドローンの事故やトラブルについての報告事例を、2015年12月から集計しており、16年度に55件、17年度は63件、18年度は55件が報告された。それによると、けが人が発生した事故は6件、建物などへ衝突または落下による物損事故は13件だった。中でも懸念されるのは、重大な事故につながりかねない旅客機やドクターヘリなど有人機へのニアミス事例が9件あったことだ。事故発生時の報告は、任意となっていることから、実際に起きている発生件数はこれより多いのではないかと推測される。
具体的事例としては、2017年に岐阜県大垣市で、イベント会場の上空で菓子をまいていたドローンが落下し、下にいた複数名が負傷した事故が記憶に新しいところだ。また、同年大阪の伊丹空港では、誘導路の上空をドローンとみられる物体が飛行し、日本航空の旅客機が着陸をやり直したというニアミス事例が発生している。
今回の改正法案で政府は、他にも小型無人機「ドローン」によるテロへの対策として自衛隊や在日米軍施設上空の飛行禁止を盛り込む方針で、それに対し日本新聞協会が取材活動を大きく制限し、国民の知る権利を侵害するとして菅義偉官房長官宛てに意見書を提出している。