地上に降りたドローンのカメラが動画撮影の楽しさを広げるOSMO POCKET

地上に降りたドローンのカメラが動画撮影の楽しさを広げるOSMO POCKET

DJIのコンシューマ向け新製品の OSMO POCKETは、3軸スタビライザーを搭載したコンパクトな手持ちカメラ。プロ向けのカメラジンバルで培った技術をもとに、動画撮影の可能性を広げる新製品をレビューした。


60fpsの4K動画が撮影できるコンパクトで高性能なハンドヘルドカメラ

  OSMO POCKETは、片手にすっぽりと収まる小型カメラ。1/2.3インチセンサーに視野角80°で絞りF2.0のレンズを組み合わせ、メカニカル機構の3軸スタビライザーを搭載している。これまでにも、DJIではスマートフォンを取り付けて撮影できるOSMO MOBILEシリーズを販売してきた。スマートフォンで手ブレのない動画が撮影できるOSMO MOBILEシリーズは、専用アプリによる多彩な自撮りが楽しめるジンバルとして人気を集めている。今回の新製品のOSMO POCKETは、小型カメラも搭載してスマートフォンを使わなくても動画が撮影できるハンドヘルドカメラへと進化した。すでに製品の基本スペックなどは、製品発表会の記事でも解説しているので、今回は実際のレビューを中心にOSMO POCKETの楽しさについて考察してみた。
 まず、カメラとしての基本性能については、1万円前後で購入できるコンパクトデジタルカメラやiPhone 6以降のスマートフォンと同じセンサーサイズなので、日常的なスナップ写真や動画の撮影画質は、それほど悪くない。カラーバランスやコントラストなども、標準のオート設定のままで撮影しても、自然な色合いになる。DJIのドローンであれば、旧モデルのPhantom 4やMavic 2 Zoomで採用されているセンサーサイズになる。4K動画の画質も綺麗だ。4K動画では、3840 x2160ドットのH.264(High Profiel)コーデックにより60フレーム/秒で撮影できる。音声は、MPEG-4 AACコーデックのステレオで、サンプリングは48000Hzでビットレートは192kbpsになる。4K動画は綺麗で高精細だが、高度な編集のためには高性能なPCと編集ソフトを別途に用意した方がいい。逆に、4K仕様のPCを利用できないのであれば、フルHD動画の撮影を推奨する。あるいは、高性能なスマートフォンでDJI Mimoという編集アプリを活用すれば、4K動画でも快適に編集できるのかも知れない。

スマートフォンでDJI Mimoを活用するとカメラの細かいパラメータも調整できる

ジンバルの性能は絶大で手ブレ感はほとんどない

 OSMO POCKETは、ジンバルの機能を活用してパノラマなどの静止画も撮影できるが、その楽しさの基本は手ブレのない動画にある。最新のビデオカメラにも、手ブレ補正などの機能は装備されているが、その多くはソフトウェアによる処理や、センサーとレンズを動かすことでブレを補正する。そのため、機種によっては十分な手ブレ補正が行われない。それに対して、OSMO POCKETはメカニカル・ジンバルなので画像の安定感が秀でている。また、視野角80°のレンズには、被写体を近くで捉えたときの没入感がある。ペットなどに接近して撮影するとフレームいっぱいに被写体が映る。例えば、視野角が狭いレンズで手ブレ補正しないで動く被写体を追うと、映像酔いするような動画になってしまうが、OSMO POCKETであれば心配ない。また、人物の撮影であれば、DJI Mimoのフェイストラックを活用して、被写体が常にフレームの中心になるようなカメラワークも楽しめる。さらに、DJI Mimoを活用するとインテリジェントな撮影モードを楽しめるだけではなく、カメラの細かいパラメータも調整できる。主なパラメータの設定は、OSMO POCKETにある小さなタッチスクリーンでも操作できるが、DJI Mimoを使うとスマートフォンの大きな画面で確認しながら操作できるので便利だ。
 ただ、Android系のスマートフォンを取り付けると、OSMO POCKETのバッテリーからスマートフォンへの充電が行われてしまう。DJIに確認したところ、iPhoneではそのような現象は発生せず、Android系の仕様になっているという。そのため、Android系スマートフォンの利用では、OSMO POCKET本体のバッテリー消費に注意する必要がある。

スローモーション撮影で誰でも映像作家の気分になれる

 短期間だがOSMO POCKETを借りて撮影した中で、映像作品らしく残せた動画がスローモーションだった。ミュージックビデオなどでも、映像演出として使われることが多いスローモーションだが、スマートフォンを手持ちで撮影すると、あまりいい映像は残せない。通常の撮影よりもスローモーションの方が、撮影時の手ブレが気になってしまうのだ。ところが、OSMO POCKETであれば3軸ジンバルの効果で滑らかなスローモーション映像を撮影できる。その仕上がりは、映像作家の作品のような気分になれる。このスローモーション映像のためだけに、OSMO POCKETを手に入れても価値があると思う。ただし、残念なことにスローモーション撮影では録音はできない。また、音も綺麗に収録したいのであれば、別売の3.5mmアダプターで外部マイクを使った方がいいだろう。海外のレビューサイトでも、OSMO POCKETでストリートライブを録音したときに、かなり音質が悪いと評価されていた。コンパクトな本体に小型のマイクを取り付けた構造なので、音質まで期待するのは無理だろう。その意味では、OSMO POCKETの撮影を充実させるためには、3.5mmアダプターだけではなく別売のアクセサリ類も揃えた方がいい。特に、カメラワークをサポートするコントローラホイールや、NDフィルターなどは欲しい。今回のレビューでは、アクセサリ類まで借りられなかったので、その性能は評価できないが、きっとOSMO POCKETによる映像作品の可能性を広げてくれるはずだ。
 短期間のレビューだったが、実際に持ち歩いて街中などを撮影してみると、楽しい動画が記録できる魅力的なハンドヘルドカメラだとわかった。価格がちょっと高いのが、購入の心理的な障壁となっているが、ひと味違う動画を撮影したい人ならば、OSMO POCKETに投資する価値があると思う。

この記事のライター

関連する投稿


DJI、小型の3軸ジンバルを搭載したOSMO POCKET販売開始、価格は44,900円(税込)

DJI、小型の3軸ジンバルを搭載したOSMO POCKET販売開始、価格は44,900円(税込)

DJIストアは、3軸スタビライザーを搭載する高性能でコンパクトサイズなOsmo Pocketの販売を11月29日、開始した。価格は、税込み44,900円。記録用のSDカードは別売。


最新の投稿


シナジーテック、夜間捜索ドローン専用 照明キットを新発売

シナジーテック、夜間捜索ドローン専用 照明キットを新発売

株式会社シナジーテック(徳島県阿南市宝田町)は、 ドローンに搭載可能な、 超軽量、 全光束25,000ルーメンのLED照明ユニット「DL250」を開発、 販売を開始した。


ドローン大学校が修了生と共同事業、「ドローン送信機用モニター取付ネジ”DRONE TX SCREW”」の販売開始

ドローン大学校が修了生と共同事業、「ドローン送信機用モニター取付ネジ”DRONE TX SCREW”」の販売開始

ドローンビジネスの創造をビジョンとするドローン大学校は、修了生の丹羽雅裕氏が代表取締役を務める株式会社丹羽電機とのアライアンスによる「ドローン送信機(プロポ)用モニター取付ネジ”DRONE TX SCREW”」の製造・販売を開始する。


イーエムアイ・ラボが開発、レーザー測量用ドローン発売

イーエムアイ・ラボが開発、レーザー測量用ドローン発売

株式会社イーエムアイ・ラボ(長野県/ EMI-LAB)は、 UAVレーザー機の販売を3月から開始。


農業用ドローンのナイルワークス、総額約16億円の第三者割当増資を実施

農業用ドローンのナイルワークス、総額約16億円の第三者割当増資を実施

新型機の量産体制を確立、2019年度より販売開始。


NVIDIAが小型でパワフルな99 ドルのNVIDIA CUDA-X AI コンピューターJetson Nano を発表

NVIDIAが小型でパワフルな99 ドルのNVIDIA CUDA-X AI コンピューターJetson Nano を発表

2019 年 3 月 18 日 - カリフォルニア州サンノゼ。NVIDIA は米国で開催したGPU Technology Conferenceで、数百万のインテリジェントなシステムの開発を可能にする AI コンピューター Jetson Nano を発表した。