DJI JAPAN、Mavic 2 Enterprise実機説明会開催 ドローン活用のメリットを講演

DJI JAPAN、Mavic 2 Enterprise実機説明会開催 ドローン活用のメリットを講演

DJIは、Air Works 2018で高機能産業用ドローン「Mavic 2 Enterprise」を発表、日本国内でもすでに販売が開始された。DJI JAPANでは、11月15日、実機を使った製品説明会を開催した。防災科学技術研究所の内山庄一郎氏と日本ドローン無線協会の酒井淳一郎氏がドローン活用と導入について講演。


Air Works 2018で発表の高機能産業用ドローン「Mavic 2 Enterprise」説明会

 DJIは、Air Works 2018(10月30日、米国)で高機能産業用ドローン「Mavic 2 Enterprise」を発表、日本国内でもすでに販売が開始された。DJI JAPANでは、11月15日、実機を使った製品説明会の開催に合わせ、産業用ドローンを活用することで得られるメリットや行政への産業用ドローン導入方法について国立研究開発法人防災科学技術研究所の内山庄一郎氏と一般社団法人日本ドローン無線協会の代表理事・酒井淳一郎氏が講演した。

 DJIは今年、農業用ドローン DJI AGRAS MG-1P RTKや標定点を不要とする測量ドローンPhantom 4 RTKにつづき、今回のMavic 2 Enterpriseの発表で、産業分野に特化したドローンの開発を積極的に進めている。これには、米国内市場でのドローン需要が今年はおよそ6倍に拡大、商用パイロットも10万人になるといった背景がある。
 今回のMavic 2 Enterpriseは、Mavic 2 Pro、Mavic 2 Zoomに拡張性をもたせ、消防、警察、災害対応からインフラ点検といった様々な産業シーンを支援することができる。性能については既報の通りだが、再度紹介したい。

3種類のアクセサリーを装着したMagic 2 Enterprise=11月15日、東京都品川区のDJI本社

折りたたみ式のコンパクトな機体ながら、高い撮影機能

 撮影性能としては、1/2.3インチ12MP CMOSセンサーで高解像度画像が得られ、3軸ジンバル搭載によって安定した滑らかな映像が期待できる。ズームは光学2倍で、デジタルズームだと3倍まで可能となっている。これは同じズーム機能のあるMavic 2 Zoomが光学2倍、デジタル2倍なので、Mavic 2 Enterpriseが、産業用途での近接撮影を想定して作られていることがわかる。
 またGPSタイムスタンプが映像が撮影された時刻と場所の緯度経度を記録することができるため、遭難者を発見した場合に活用できる。
 撮影画像は従来通りSDカードに保存できるが、Mavic 2 Enterpriseは24GBの内臓ストレージを備えているため、映像を常に手動で伝送する必要がなくなり、メディアを刺し忘れても安心だ。データはパスワードで管理できるため、万が一、機体の盗難やロストでも、データを保護できる。

3種類の専用アクセサリーで様々なシーンに対応

 また大きな特徴として撮影のみならず、いくつかの拡張性を備えたプラットフォームとしても活用が期待されている。今回は3つのアクセサリーが用意された。
 ひとつ目は、「スポットライト」。機体正面上部に取り付けられるデュアルスポットライトは、飛行中の100%出力で2400ルーメンと明るい。インフラ暗部の撮影や、夜間の人命救助における捜索などで効果が期待できる。アプリ上で照度の設定、ON/OFFが可能だ。
 ふたつ目は「スピーカー」。防災時における誘導ツールとしても有用で、今回の説明会のデモで実際にラウドスピーカーの音量を体感したが、かなりしっかりと音声を聞くことができた。事前に録音した音声を10セット流すことが可能。ただし、例えば防災害現場で、モニター画面を見ながら、リアルタイムに要救助者に呼びかけたりすることはできない。
 三つ目は、「衝突防止ビーコン」で、夜間飛行の際、最大で5キロ離れたところからでも目視可能で、さらなる安全性を確保する。これは米連邦航空局(FAA)の基準を満たしている。

M2E スポットライト

M2E スピーカー

M2E ビーコン

安全性を優先したシステム

 安全面でもこれまで以上のシステムが考えられている。
 飛行時間は、強力な推進システムによって31分にまで延長、スポットライトなどアクセサリー装着時でも25分飛行でき、最大飛行速度は時速72キロを実現した。
 バッテリーは自己発熱型で、ー10度の氷点下でも正常に動作し、厳しい環境での飛行でも安心して飛ばすことができそうだ。このバッテリーは、Mavic 2 Pro、Mavic 2 Zoomには対応していない。
 運行面では、DJI Airsense技術を搭載することで、飛行中の危険を察知することができる。機体と一体型のSDB-S信号の受信機を使用することで、周囲を航行中の有人航空機の測位警報もリアルタイムで得ることができ、安全性が向上した。
 また近接する障害物に対しても高度操縦支援システム(APAS)が探知するので、障害物回避も容易になった。
 障害物探知については、8個の高解像度ビジョンセンサーと2個の赤外線センサーで全方位での探知性能が向上し、複雑な環境下でも安定した飛行が可能となった。

パイロット育成に実戦的なシミュレーター

 Mavic 2 Enterprise用に開発された業務用の飛行制御アプリ「DJI Pilot」(Android/iOS)は、飛行ルートの計画から撮影時のカメラの角度まで制御できる。
 DJIではドローン開発とともに重要なのが、パイロット育成のためのトレーニングシステムと考え、あらゆる状況に対応できる「DJI Flight Simulator」を用意、スキルトレーニング、フリーフライト、アプリトレーニングができる。特徴的なのは、風、天候、照度や視界の実際の状況に合わせることもでき、送電線の点検や要救助者捜索と救助活動などのシチュエーションで訓練もできる。DJIでは国交省が認定する講習団体などで取り入れてもらいたいとしている。

災害現場でメリットの大きいドローン活用 内山庄一郎氏

 Magic 2 Enterpriseの説明会に合わせて行われた講演会は興味深い内容だった。防災科学研究所の内山庄一郎氏は「現場従事者にとって「今」得られるドローンのメリットとは」というテーマで、主に災害現場でのドローン空撮から得られるデータの活用方法について話した。
 実際の災害に照らし合わせ、そこでドローンを活用することでできることを分かりやすく解説した。例えば2011年の東日本大震災の際、ドローンによる広範囲な情報収集が行われていれば、自宅屋根の上に乗って沖合に流された多くの要救助者も助けられたのではないかという。初動として沿岸部の捜索は行われたが、沖合に流された家屋の屋根で救助を待つ被災者までは発見が困難だった。ドローンによる捜索情報があれば、救助率が向上し、助けられた命もあったのではと指摘する。
 今年の西日本豪雨災害の例では、現場上空で写真測量を行い、空撮データからオルソ画像を、現場到着後2時間以内に完成させた。これによって土砂の流れ止まっている場所、流路の変化、巨礫の集まっている場所などから要救助者の居場所が推定することができるという。
 また、作成したオルソ画像と住宅地図を合わせることで、「捜索支援地図」を作ることができる。これは被災前の住宅の個人名が分かルため、土石流などに流された被災家屋の特定が迅速にできるというメリットがある。
 他にも、実験として捜索地域上空のドローンで捜索者の動きをデータ化し、捜索漏れの「可視化」を行う。くまなく捜索したようでも、実は見落としている地域、場所が判明するというものだ。
 このように、内山氏は、ドローン空撮から得られる情報と、GIS空間情報の処理能力が合わせることで大きなメリットが生まれると話す。

■ 内山庄一郎著書
「必携 ドローン活用ガイドー安全かつ効果的な活用を目指して」(東京法令出版)

講演する内山庄一郎氏。

仮導入から始めるドローン導入 酒井淳一郎氏

 一般社団法人日本ドローン無線協会の代表理事・酒井淳一郎氏は、「産業ドローン導入と知っておくべきこと」というテーマで、行政がドローンを活用するため、導入するまでの課題とそれの解決策について話した。酒井氏は、警視庁刑事部鑑識課、同科学捜査研究所委嘱ドローン指導教官という肩書も持ち、他にも地方自治体のドローン導入相談実績も多い。
 行政等におけるドローン導入でよくある導入プロセスは、目的の検討から始まり、導入に至るまで早くて半年、長ければ2年ほどかかり、訓練を行って運用まで3年かかるという。時間がかかるほど、機材が変化したり、当初の目的と実運用に差異が生じ、組織の人事異動などで人員の再編があり、最悪は導入に至らないこともある。
 これに対し、酒井氏が勧める早期導入のプロセスでは、実業務よりイメージしやすい導入目的を設定し、機材コスト、運用コストの優れた機材(ドローン)を仮導入することだと提唱する。

導入プロセスにおけるポイント。

機体をはじめ、3種類のアクセサリーやバッテリー3個などが一つに収められたセット。

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