次世代農業EXPO2018で見た、進化する日本の農業ドローン(下)

次世代農業EXPO2018で見た、進化する日本の農業ドローン(下)

2018年10月10日。幕張メッセで第5回 次世代農業EXPOが開催された。レポートの後半では、ハイブリッド機や粒状散布装置など、日本独自の取り組みを中心に紹介する。(田中亘)


ハイブリッド機に取り組むTOKO UAVとTEAD

設計したハイブリッドドローンの特長を説明する八州電業の橋爪賢治郎代表取締役CEO

 農業ドローンに求められる高いペイロードと長時間のフライトを実現するために、ガソリンエンジンを利用したハイブリッド機も展示されていた。その中で、東光鉄工UAV事業部が開発中のTOKO UAVのハイブリッド機は、11KGのペイロードを備えて50分の飛行が可能な高性能ドローン。設計を担当した八州電業の橋爪賢治郎代表取締役CEOによれば、日本は面積の狭い田圃が数多く点在するため、大陸型の農場で開発されたドローンでは、農家の実用に適さないという。狭い範囲を何度も折り返し飛行して散布するので、15分前後の飛行時間では一度で完了しないケースが多くなる。橋爪氏の八州電業は、もともとドローン用の高品質なオーダーバッテリーを制作していたが、5年ほど前からドローンの設計と開発にも携わってきた。展示されていたハイブリッド機も、橋爪氏の設計によるもの。日本の農家の厳しい利用環境にも耐えるために、ジョイントに金属パーツを使い、強度の高い部品を採用している。ちなみに、橋爪氏はDJIのAGRAS MG-1の日本仕様の開発にも携わってきた。日本で提案した設計が、中国の本社でも採用されグローバルモデルの規格になったという。日本の農薬散布ドローンの開発に、農家と一緒になって取り組んできた橋爪氏は、日本の農家ならではのニーズが数多くあり、国産ドローンの強みが発揮できると自信を見せる。
 TOKO UAVの他に、TEADが農薬散布にも利用できるペイロードの高いハイブリッド機の試作モデルを展示していた。TEADは、ドローンの他にも自社開発のホバーボートを展示し、台車に載せて展示コーナーで実走行させていた。

TEADはハイブリッドドローンの試作モデルを展示

TEADは展示会場内で水上ドローンを台車に載せて実走行を披露していた

粒状散布装置も自社で開発するエンルート

エンルートは独自に開発した粒状散布装置をデモンストレーションしていた

 農薬散布ドローンを早くからビジネスにしてきたエンルートは、顧客からの要望に応えるために、新たに豆つぶ剤を散布できる装置を搭載したAC1500ドローンを展示していた。粒状散布装置は、粒状剤メーカーのクミカと協力し、農家の要望に合う散布性能を実現している。ドローン開発のノウハウを集約し、ダイヤルの調整だけで豆つぶ剤散布の吐出量もコントロールできる専用送信機も開発し、多様な散布用途に対応する。展示コーナーでは、豆つぶに見立てたBB弾を散布するデモンストレーションが行われ、来場者の注目を集めていた。
 農家の声に応える製品開発や改良を続けるエンルートでは、従来モデルのAC9400とAC1500に数多くの改良を施し、そのポイントを機体に取り付けたパネルで紹介していた。展示されていた主な改良ポイントは、液剤フィルターの見直しや、クーリングファンの搭載に、散布装置の容易な交換、目盛り付きタンク、視認性を向上させる蛍光テープなど多岐にわたる。

農家の声を反映した改良モデルのポイントをパネルで展示するエンルート

VTOLドローンの販売を計画するジツタ

 愛媛県のブースに出展した測量会社のジツタは、2019年に販売を予定しているVTOLドローンを展示していた。中国製のVTOLドローンで、4つのプロペラで垂直に離着陸し、翼にある2つのプロペラで水平飛行を行う。飛行時間は1時間に及び、マルチコプターの15倍の生産性を実現するという。販売時期と価格は未定で、現在は電波など各認可の申請中。

ジツタが販売を計画しているVTOLドローン

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