日の丸自立型海中ロボットで深海の海底地図作成、Team KUROSHIOが国際競技会で決勝進出

日の丸自立型海中ロボットで深海の海底地図作成、Team KUROSHIOが国際競技会で決勝進出

海中ロボット等を用いて、超広域高速海底マッピングの実現を目指し海底探査技術を競う世界初の国際コンペティション「Shell Ocean Discovery XPRIZE」の決勝ラウンドに日本チームが進出し、開発された自立型海中ロボットなどが9月18日、神奈川県横須賀市の海洋研究開発機構横須賀本部で公開された。


水深4千メートルの深海で、500平方キロという広範囲の海底地形図作成に挑む

決勝で使用されるJAMSTEC開発の自立型海中ロボットAUV-NEXTとTeam KUROSHIOのメンバー=9月18日、神奈川県横須賀市の海洋研究開発機構横須賀本部・潜水調査船支援母船「よこすか」艦上

 海中ロボット等を用いて、超広域高速海底マッピングの実現を目指し海底探査技術を競う世界初の国際コンペティション「Shell Ocean Discovery XPRIZE」の決勝ラウンドに日本チームが進出し、競技への戦略の説明や開発された自立型海中ロボットなどが9月18日、神奈川県横須賀市の海洋研究開発機構横須賀本部で公開された。
 この「Shell Ocean Discovery XPRIZE」は、米 XPRIZE財団が主催して行われているもので、自立型海中ロボットによって水深4千メートルの深海で、500平方キロという広範囲の海底地形図を48時間以内に作成することに挑む。最低でも東京ドーム5千個分を超える広さにあたる250平方キロの海底地図を24時間以内につくらなければならない。当初は32チームが参加したが、書類審査や「Round1技術評価試験」を経て、決勝となる「海域競技」には8チームだけが残った。

 日本からは海洋研究開発機構(JAMSTEC)や東京大学、民間企業のKDDI、ヤマハ発動機など国内の産官学の若手技術者30人で構成される海底探査チーム「Team KUROSHIO」がアジアでは唯一決勝ラウンドに進んだ。
 決勝における「Team KUROSHIO」の戦略は、岸壁から小型の無人船(洋上中継器・ASV)が2機の自立型海中ロボット(AUV)を曳航し、調査現場海域でAUVを切り離して4千メートルの海底付近を航行しマッピングを行う。自立型海中ロボットの音響ソナーで得られたデータは音波で洋上のASVに送られ、ASVから基地局へは衛星通信(インマルサット)を使ってデータの送受信をする。洋上のASVはGPSで位置を把握、海中のロボットを監視、支援するとともに遠隔操作で海中ロボットを回収する役目も担っている。ASVによるAUVの回収方法は明かされなかった。

公開された水深4千メートルの海底でマッピングを行うAUV-NEXT。

 今回使用される海中ロボット(AUV)は、JAMSTECの「AUV-NEXT」と、東大生産技術研究所の「AE-Z」。2機とも全長は約5.5m、リチウムイオン電池を動力に航行、海中では4.5ノット(時速約8キロ)で航行する。重量はAUV-NEXTが2,300kg、AE-Zが550kgで、競技での役割は同じという。双方ともに高性能の音響ソナーを備えている。
 また競技海域の洋上で、海中ロボットを曳航して、洋上で海中ロボットの支援、監視を行う小型の無人船(洋上中継器・ASV)の制作には三井E&S造船が担当。全長は海中ロボットとほぼ同じ5.3メートル、動力はガソリンでヤマハ発動機の船外機が搭載された。KDDI総合研究所の無線通信システムとカメラシステム使用した遠隔操縦航行と、指定ルートの自律航行が可能だ。連続航行時間は24時間以上となっている。

競技海域の洋上で海中ロボットを監視、支援するASV(洋上中継器)。

 決勝ラウンドは11月に開始され、海域は公表されていないが、8チームが順番に海底の地図づくりに挑む。最も早く正確につくりあげたチームに賞金700万ドル(約7億8千万円)が贈られる。
 Team KUROSHIOの中谷武志共同代表は「深海探査の可能性を広げるチャレンジだ。優れた海中ロボットで決勝残ったアジア唯一のチームとして、日本代表、アジア代表という意気込みで向かっていきたい」と話した。

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