【慶大×田村市】「ドロコンたむら」第2回定例会 DRONERBIRD隊長の古橋氏が講演 「発災後の地図を迅速に」

【慶大×田村市】「ドロコンたむら」第2回定例会 DRONERBIRD隊長の古橋氏が講演 「発災後の地図を迅速に」

 ドローンによる地域活性化に取り組む福島県田村市で9月10日、業種横断的な有志のドローン活動体、「ドローンコンソーシアムたむら」の第2回定例会が開かれた。「ドローン×防災」をテーマに、「災害ドローン救援隊DRONBIRD」を率いる青山学院大学の古橋大地教授が講演し、約30人がドローンで作るマップの可能性に理解を深た。


進む「地図の民主化」 市民参加で詳細な地図作成が可能に

 定例会では冒頭、副会長をつとめる田村市の皮籠石直征副市長が「北海道胆振東部地震でたくさんの方が被災されました。お見舞いを申し上げます。今回は防災がテーマ。DRONEBIRD隊長で青山学院大学教授の古橋先生にお越し頂きました。陸上自衛隊も災害対応でドローンを飛ばしました。9月2日に田村市で開催された福島県の防災訓練では、多くのドローンが飛びました。ドローンの活用の場はますます広がっていますし、まだまだ力を発揮できると考えています」とあいさつした。

 講演では古橋氏が、地図を取り巻く状況の変化を説明。日本では、民間企業が作ったものを使う習慣があったが、グローバルには、市民が情報を持ち寄って地図化する取り組みが進み、地図作成技術の進歩でますます市民参加が進んでいて「地図の民主化が進んできた」と話した。とりわけ誰でも自由に使え、編集機能もある「オープンストリートマップ」の可能性に言及し「これにドローンの技術を組み合わせてきた」と、ドローンを地図作成に活用してきた経緯を説明した。

 ハイチ、伊豆大島、タイなどで、市民参加で精密な地図ができたエピソードをまじえて地図作成への市民参加の意味を伝えたあと、国内でも災害時に支援に行く際に、地図を頼ると、通ろうと思っていた道路や橋が発災後に通れなくなっていて、目詰まりを起こすことがよくおこることを説明。「既存の地図を、発災後の地図に更新して、う回路を示すことができれば目的地に行くことを支援できる」と地図の効能を強調した。また、「地図上でテントの数が分かれば、そこで避難生活を送る人数を推計でき、届けるべき支援物資の分量を見積もれる。トイレの場所を示すこともできる」と災害時の地図の重要性を強調した。

 さらに「一般的に、地図情報は宇宙から見ればすぐに分かる、と思われがち。しかし人工衛星は残念ながら、まだリアルタイムで伝えられない。また人工衛星が撮影するのは、太陽の光を反射している昼間だけで、一般には午前11時半からの1時間。東日本大震災のように午後に起きたら、八災後の撮影は翌日となり、発災後のことを知るのは翌日になってしまう。さらに撮影時に曇っていたら、撮影後の写真が雲だらけということもある。雲の下を撮影できるのがドローン」と、ドローンの有効性を強調した。

ドローンコンソーシアムたむらの定例会で講演したDRONEBIRD隊長で、青山学院大学教授の古橋大地氏

発災後は道路や橋が使えないことがあり、支援チームが通れずに立ち往生することがある。発災後の地図が迅速に作れれば、支援チームにう回路を示すことができる

西日本豪雨でも地図作りに奔走

 15府県で227人が犠牲になった西日本豪雨の被災地で活動したことについても報告した。古橋氏は、田村市のドローン活動に助言している慶大SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアムの南政樹副代表や、ともに活動しているコミュニティーのメンバーとともに、被災地の災害対策について早くから連絡を取り合ってきた経緯を説明。古橋氏、南氏ほかのメンバー、DRONEBIRDのチームメンバーが、それぞれで被災地に入り、撮影をし、情報を持ち寄ったという。

 「これは8月28、29、30日にみんなで撮影したもの。いまはインターネット上で公開してあり、だれでもみられる。またこれは9月6日の芦屋の写真。よくみると六甲アイランドから流れ着いたコンテナが点在している。このときはまだ停電していた。この日に、北海道胆振東部地震が起きていて、近畿も北海道も大変な状況。こういうときにはとりあえず写真だけ撮影して、海外のメンバーにマッピングは分担してもらう。こちらが撮影などほかの仕事をしている間に、被災地の地図ができる。こうした一連の作業がボランタリーでできるようになっている」

 古橋氏は、2013年10月に台風が遅い土砂災害が起きた伊豆大島に拠点を構え、地元に10人の地図作成スタッフを配置している。ふだんからドローンに親しみ、緊急時に活用できるよう備えているという。「DRONEBIRDはできるだけすぐにかけつけることにしている。できれば1時間以内。移動時間がもったいないのでできるだけ地元のメンバーに撮影してもらう。撮影した写真を地図に重なるよう計算して、加工して、地図にする。そして国連とか赤十字とか必要な機関に渡す。われわれのゴール2時間以内に情報を受け渡す体制をつくることです」

慶大・南政樹氏が紹介した7月11日の岡山県倉敷市真備町上空から撮影した写真

普段は観光、緊急時は地図作成 クライシシマッピングの普及を

 さらに古橋氏は、西日本豪雨の対応で「したこと」は、地元、地元に支援に入るチームに、どんな活動をするか、事前に連絡を取り合うことで、それによってその場所の地図を先回りして作っておき、情報面で支援をすることだったという。「地元に救援に入るチームは命を助ける方々だ。その方々から今後はそうした方々との連携をさらに深め、地図をどう使っているかを聞き、地図作りどんどん反映させていきたい」と述べた。

 また、「災害時にしか使えないものは、結局、機能しないのではないかと思っている」と指摘。日常的に観光用途などでドローンを活用するなどして親しんでおいて、発災時には緊急用に使い方を切り替えて災害地図をつくる“クライシスマッピング”の普及を訴えた。

 このあとの質疑応答で、マッピングのエンタメ化の可能性や、未経験者が地図作りの力になるためにどうしたらいいか、といった質問が相次ぎ、古橋氏、南氏がそれぞれの視点から回答した。定例会はこのあと、グループに分かれての意見交換が行われ、ドローンの活用に向けて多くの意見が交わされた。

会場で参加者との意見交換にのぞむ慶大ドローン社会共創コンソーシアムの南政樹副代表(左)と、DRONEBIRDの古橋大地隊長(右)

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