ドローンジャパンが軽井沢でArduPilotの成果発表会を開催(2)

ドローンジャパンが軽井沢でArduPilotの成果発表会を開催(2)

7月21日。ドローンジャパン株式会社(東京都)は、軽井沢でArduPilotの成果発表会を開催した。デモフライトの会場は、軽井沢の「ペンションにいみ」を中心とした地元の方たちが、休耕地の雑草を刈り込んで離着陸のスペースを確保した。


VTOL専用設計機の飛行

 小宮光裕氏の「VTOL専用設計機」は、昨年から続いている取り組み。前回は、市販のセスナを改造してテスト飛行を行っている。ドローンタイムズでも飛行の様子を取材したが、当時はドローンのように飛ぶセスナのような印象だった。今回は、機体もオリジナルで設計し、クアッドモーターにもティルト機構を備えて、離陸後にプロペラを傾けて水平飛行に移行できるVTOL機になった。離着陸をクアッドコプターの理論で行い、空中で水平飛行に切り替えるティルトロータートラディションは、飛行制御が難しくバランスを崩して失速する危険も多い。しかし、小宮氏によれば「ArduPilotならば、制御が可能」になるという。

第一期生で自作のVTOL機に取り組む小宮光裕氏

 新設計の機体は、推進力の高いモーターを利用したため、水平飛行に移行するだけの負荷にフレームの設計が耐えられない心配が出てきたという。そのため、デモフライトではティルト機構は使わずに、離着陸だけを披露した。残念ながら、小宮氏の華麗な操縦テクニックは見られなかったが、それは別の固定翼機で実感できることになった。

プロペラのティルト機構を備えたVTOL機が垂直離陸を見せた。まだ試作中のため、水平飛行は披露しなかった。

SLAM+Fake GPSによるドローン制御

 中島幸一氏の「SLAM+Fake GPSによるドローン制御」は、ドローンにRP-LiDARを取り付けて、SLAM(ROS)を利用して室内のようにGPSが受信できない環境で飛行するチャレンジ。プレゼンテーションでは、実際に飛行させるのではなく、機体を手に持ってSLAMで認識した座標を飛行計画ソフトのMission Plannerに位置情報として認識させる様子を紹介した。さらに、Windowsのタスク機能を活用して、スケジュールされた時間に定期的に飛行したり、電圧が低下したらミッションをリバースする仕組みなども紹介された。

SLAM+Fake GPSによるドローンの位置情報が反映される様子を紹介する中島幸一氏

 デモフライトでは、実機を飛ばすことができないので、Parrot Bebopを使って、オートミッションでリバースする様子が実演された。

オートミッションでリバースするParrot Bebop。

Parrot Bebopでリバースミッションを実演する様子

ArduPlaneによる固定翼機

 松本威氏の「ArduPlaneによる固定翼機」は、市販の固定翼機にArduPlaneを組み込んで、安価に短期間で自動飛行が可能なUAVを制作する取り組み。手動での飛行はすでに成功し、ArduPlanによる自動飛行を検証している途中だという。市販の機体の中に、PixHawk2などのフライトコントローラーを取り付けるので、バランスが重要になる。また、現在は飛ばすために機体の下部にある穴に手を入れて投げる必要があり、着陸は安全な場所への胴体着陸となる。そこで、今回はデモフライトでネットによるキャッチを計画した。さらに、今後はバッテリーの大容量化と重量配分の最適化も研究していくという。

ArduPlaneによる固定翼機の構造を解説する松本威氏

 市販の固定翼のデモフライトは、自動飛行が間に合わなかった関係から、名パイロットの小宮光裕氏がコントローラーを手に、広い畑の上を周回飛行してみせた。そして、ネットを構えた位置に見事に機体を制御して、まったく損傷を与えることなく軟着陸を実現した。

離陸は放り投げるように行われ(写真右合成)、小宮光裕氏の操縦にリレーされ華麗な飛行を見せた。

小宮光裕氏の正確かつ的確な操縦でネットに収まったArduPlaneによる固定翼機。

 後日談。
 「ArduPlaneによる固定翼機」のデモフライトでは、炎天下に機体を長時間放置しておいた関係で、制御回路が熱暴走の状態になり、予定していた時刻にARM(離陸準備)の信号を受信できない状況に陥った。そこで、塾生が機体を日陰に移動したり、冷たいペットボトルで冷やすなどの処置を行い、しばらくして回路が回復した。
 こうした一連の状況を総括して、ドローンジャパンの春原久徳取締役会長は、「成功も失敗も包み隠さず紹介するのが、我々のモットーです。それこそが、オーブソースの精神であり、失敗の積み重ねが重要なのです」とコメントした。

炎天下に置かれたままだったため“熱中症”となった機体。関係者は、熱暴走した制御回路に扇子などで風を送って冷やし、機体は無事に飛ばすことができた。

(つづく)

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