PrecisionHawkが米国での目視外飛行(BVLOS)の技術プラットフォームを発表

PrecisionHawkが米国での目視外飛行(BVLOS)の技術プラットフォームを発表

米国でドローンを活用したソリューションを展開しているPrecisionHawk社(代表:マイケル・チャゼン)は、最先端の音響検出技術などを組み合わせて、半径10km以内の航空機を識別する目視外飛行(BVLOS)対応ドローンの技術プラットフォームを発表した。(田中亘)


FAAとの3年間に及ぶ安全性調査の集大成

 米国の連邦航空局(FAA)によるドローンの飛行規制では、許可を得ていない目視外飛行(BVLOS)は禁止されている。そのため、米国も日本と同様に目視外飛行による商用ドローンの業務拡大という恩恵を受けられない事業者は多い。米国では、過去に1,200件を超えるBVLOS免除の申請が提出されたが、その99%が承認されていない。しかし、BVLOSフライトの実現は、既存の方法よりも安全で投資対効果の高い、空からのデータ収集を実現できる。BVLOSフライトは、目視による飛行よりもはるかに広大な距離をカバーし、多くの商用ドローン事業者に経済的な効果をもたらすと期待されている。まず、効率の面では、飛行機やヘリコプターよりも低いコストかつ少人数あるいは無人で、多くのデータを収集できるようになる。また、BVLOSによる低い高度でのデータ収集は、飛行機や衛星に比べて、低コストで高解像度なデータを細かく制御しながら収集できる。そして、危険な場所の上空を飛行する有人機に比べて、人員の安全性にも貢献する。
 BVLOSによる数多くのメリットが指摘されながら、米国で推進されてこなかった背景には、FAAによる慎重な規制がある。現在の米国で、商業的なBVLOS事業を行うには、FAAから個人または事業者がBVLOS Part 107 Waiver(目視外飛行許可)を受ける必要がある。資格を取得するには、FAAにドローンで安全に飛行することを証明しなければならない。PrecisionHawk社の政策&戦略担当のダイアナ・クーパー上級副社長は「BVLOS免除を取得するプロセスは、複雑であいまいで厄介です。PrecisionHawkは、このプロセスをナビゲートするための専門知識を開発し、われわれが知っていることを他の人と共有できます。私は検査、調査、精密農業、緊急対応などの新しい可能性を広げるために、組織と直接協力していきたいと考えています」と話す。

BVLOSのフライト要件

BVLOS事業のための安全ガイドラインを開発

 2015年にFAAは、The Pathfinder Initiativeというドローンのアプリケーションと安全シナリオに関する実用的なデータを収集するプロジェクトを発足し、3社の米国の民間企業と提携した。PrecisionHawk社は、協力企業の1社として3年間にわたってフィールドワークを行ってきた。そして、BVLOS飛行を可能にする技術の推奨に加えて、運用と安全の実践の開発にも焦点を当ててきた。フィールドテストは2017年3月に完了し、同社は実データを組み合わせたレポートを提出し、研究内容を公開した。資料によれば、安全性を研究するために、実際の商用飛行に近い環境でドローンを操作し、別のパイロットが操縦するドローンを接近させて、どのように対処するかを数多く検証している。実験では、地上制御ステーション(GCS)の操作ビューと、航空機の位置と高度を示したLATAS(Low Altitude Tracking and Airspace Safety)という独自のソフトウェアの画面を表示して、パイロットが空中衝突を回避するために必要な量的データと定性的データの両方を収集している。
 BVLOS申請の課題に3年前からFAAと協力して取り組んできたPrecisionHawk社は、安全性の調査を実施して以下の技術支援が重要だと分析した。

・ドローンのトラッキング
・リアルタイムでのドローンの飛行データフィード
・システムによる障害物の検出と回避
・飛行状況のディスプレイ

 こうした研究の集大成として、PrecisionHawk社はBVLOSフライトに必要な3つのコンポーネントを指摘する。

【検出】
検出では、ドローンオペレータの空域に侵入する協調型および非協力型の航空機(航空機からの明確な違反)を特定し、回避行動をとる必要がある。技術的には、遅延や待ち時間に障害などの機能低下を示すために、動作中のステータスアラートを提供する。

【安全性】
安全性では、パイロットが既存の空域クラス、一時的な飛行制限、および飛行禁止ゾーンを認識しているか確認する。また、ハードウェアの飛行前チェックを行い、飛行機が故障した場合に適切な飛行操作を実行する。

【教育】
ドローンオペレータートレーニングでは、パイロットに十分な飛行経験があり、なおかつBVLOS特有のトレーニングを受ける必要がある。トレーニングが完了したことを確認するには、実際の性能評価(現地テスト)を行う。

 そして、最終報告書では都市以外でのBVLOS飛行の安全ケースをまとめている。

・BVLOSを試行する前にVLOS飛行を少なくとも15~20時間実施し、実用的な性能評価を行う。

・危険を最小限に抑えるための明確な指示があるBVLOSフライトオペレーションマニュアルを作成する。

・支援技術の提供:
1.ドローンのリアルタイム追跡
2.協調型有人航空機を追跡するためのソリューション
3.非協力型有人航空機を検出して回避するためのソリューション(トランスポンダなし)

PrecisionFlight Proで無人機の飛行を追跡

BVLOSドローンのプラットフォーム技術

 PrecisionHawk社はBVLOSフライトに必要なドローンとして、4つのキーテクノロジーを備えたプラットフォームを開発した。そのポイントは、リアルタイムでの有人飛行機からのデータフィードに、音響ベースの飛行機検知システムと、ハイブリッドによる2時間以上の飛行性能、そして他のBVLOS補助技術の組み合わせとなる。日本では、FAAのPathfinderのような仕組みがないので、安全なドローン操作を容易にするための地理空間、ソフトウェア、およびハードウェアツールを組み合わせたLATASが使用できない。そのため、同社の提唱するBVLOSドローンのプラットフォーム技術をそのまま利用することはできない。しかし、こうした技術プラットフォームは、日本でも法整備や技術環境が整えば、そのまま流用できる要素技術も多い。PrecisionHawk社のマイケル・チャゼンCEOは「業界アナリストは、商業用ドローンの市場が、今後数年間で数十億に成長すると予測しています。しかし、私たちが本当にその成長を達成するためには、BVLOSを実現する必要があります。だから私たちはこの重要な研究のリソースを公開し、業界の発展を支援したいと考えています」と話す。日本も乗り遅れないことを期待する。

BVLOSドローンのプラットフォーム技術

Pathfinder Focus Area 2は、以下のURLで公開されている。

https://resourcecenter.precisionhawk.com/FAA-Pathfinder-Phase-III-Report.pdf

この記事のライター

関連するキーワード


PrecisionHawk BVLOS LATAS

関連する投稿


スカイロボット、米 PrecisionHawk社のドローン業務ソリューションの提供開始

スカイロボット、米 PrecisionHawk社のドローン業務ソリューションの提供開始

株式会社スカイロボット(東京都中央区)は、今年2月に提携した米国のドローンソリューション・ベンチャー PrecisionHawk USA Inc.(米・北カロライナ州) のドローン業務ソリューションの提供を5月から開始する。


米国PrecisionHawk社がDroners.ioとAirVidを買収し、ドローンパイロットの最大ネットワークを構築

米国PrecisionHawk社がDroners.ioとAirVidを買収し、ドローンパイロットの最大ネットワークを構築

米国ノースカロライナ州 - 2018年2月8日 - 企業向けドローンの大手プロバイダーPrecisionHawk Inc. は、Droners.ioとAirVidの買収を発表した。買収により、同社は15,000を越えるドローンパイロットのネットワークを形成する。


新たなドローンのパッケージメニューを展開する PrecisionHawk社の事業戦略

新たなドローンのパッケージメニューを展開する PrecisionHawk社の事業戦略

米国でドローンを活用したサービスを提供するPrecisionHawk(プレシジョンホーク)社は、新しい市場にドローンのサービスを拡大するために、5つのサービスパッケージを9月7日、発表した。


米AkitaBoxとPrecisionHawkがビル設備管理のドローン活用で連携

米AkitaBoxとPrecisionHawkがビル設備管理のドローン活用で連携

6月26日。米国ウィスコンシン州のソフトウェア企業AkitaBox(アキタボックス)は、同社の提供するクラウド上のビル管理ソフトウェアで、ドローン ソリューション ベンダーのPrecisionHawk(プレシジョンホーク)とパートナーシップを結ぶと発表した。


米PrecisionHawk社がマッピング用ソフトを無料で提供

米PrecisionHawk社がマッピング用ソフトを無料で提供

米国でドローンによる測量やリモートセンシングなどのソリューションを展開しているPrecisionHawk社(本社:米国、CEO:Michael Chasen)が、ドローンで撮影した画像データをマッピングし3Dモデルなどを作成できるPrecisionMapperを無料で提供する。


最新の投稿


鬼怒川温泉 廃墟群をドローン空撮

鬼怒川温泉 廃墟群をドローン空撮

-DJI Mavic proで撮影。


かもめやがドローン目視外運用を想定、次世代リアルタイム気象観測システムを運用開始

かもめやがドローン目視外運用を想定、次世代リアルタイム気象観測システムを運用開始

株式会社かもめや(香川県高松市)は、リアルタイム性重視した次世代気象観測システム(KAZAMIDORI:カザミドリ)の瀬戸内海エリアにおける運用を開始した。


米国で4K動画を撮影できる$500以下のドローンが登場

米国で4K動画を撮影できる$500以下のドローンが登場

インテルの出資を受けるYuneec社(中国)は、米国でMantis Qという4K動画を撮影できる小型ドローンを発表した。価格は、$499.99(約5万5千円)からと低価格が魅力。


米国インテルはNASAやFAAと協力してOpen Drone IDの開発を推進

米国インテルはNASAやFAAと協力してOpen Drone IDの開発を推進

2018年8月15日、オクラホマ州デュラント。Intelのドローンチームのメンバーは、オクラホマ州でIntel Falcon 8+ドローンやモバイルアプリのOpen Drone IDを使い、NASAやFAA(連邦航空局)と協力して、UAS統合パイロットプログラムのイベントに参加した。