インテルが予測、データ革命をけん引するドローン産業の未来像

インテルが予測、データ革命をけん引するドローン産業の未来像

半導体大手のインテルコーポレーションは、ドローン事業にも積極的な投資を行っている。その理由は、ドローン産業の発展がデータ革命をけん引すると予測しているから。インテルのドローン事業から産業の未来像を考察する。(田中亘)


データは21世紀の油田だと提唱するインテルとドローンの関係

ドローンが収集する膨大なデータ量は新しい産業のオイルとなるか

 数年前からインテルでは「データは21世紀の油田だ」と提唱している。世界中の人たちがSNSなどで様々な情報を交換し、インターネットと結ばれたIoT端末やスマート家電がデータを発信するようになり、膨大な情報がサイバー空間には満ち溢れている。この多様なデータの中から、価値ある洞察を導き出したビジネスが、新たな産業の覇者になると考えられている。インテルでは、半導体が利用される様々な産業分野に積極的な投資を行い、CPUをはじめとした同社の製品が利用される市場と機会の拡大を推進している。その中でも、ドローン産業に注力している背景には、ドローンの飛行によって生成されるデータの膨大さがある。インテルの試算によれば、3Dマップのために撮影される画像数を500枚としたときに、そのデータサイズは30メガバイトに及ぶ。これは、一台のドローンの試算なので、仮に75台のドローン、あるいは75回の飛行が行われれば、一日あたり18テラバイトのデータが生成される計算になる。3Dマップだけで18テラバイトを超えるとすれば、空撮動画や測量用の静止画なども、飛行するドローンの数と回数が増えていけば、指数関数的に増加していく。そのデータ量の増加は、半導体産業やIT市場にとって、魅力的なビジネスとなる。

インテルの注力する業界と市場規模

インテルの注力する業界とドローンの用途

 ドローンを活用したデータ生成事業の中でも、インテルが注力している業界は、建設、公益事業、農業、石油とガスの4分野になる。それぞれの市場規模の予測は、ABI社の試算によれば、建設が$6.6B(約7,000億円)、公益事業が$2B(約2,140億円)、農業が$8.4B(約9,000億円)、石油とガスが$6B(約6,400億円)となる。
 これらの注力市場に向けて、インテルでは3つの商用ドローン・ソリューションで対応している。一つが、オクタコプターのインテルFALCON 8+ドローン。ソニー製のα7や赤外線カメラなどを搭載し、強風下でも安定した飛行が可能で、インフラ点検や3D画像作成など、数多くの空撮業務をこなしている。もうひとつが、固定翼型のインテルSIRIUS PRO。セスナのような形状をした小型ドローンで、広域の飛行に適している。手で投げて飛ばし、発泡樹脂製の軽量な機体は胴体着陸で帰還する。そして3つ目のソリューションが、インテルMISSION CONTROLというフライト計画を自動化するアプリケーション。先ごろ来日したインテルコーポレーションのドローン事業部マーケテイング責任者のシンディー・ウン氏は、「MISSION CONTROLによりパイロットはボタンを押すだけになる。後はドローンがデータをキャプチャして戻ってくるので、データを解析するプロセスに容易に移行できる」と話している。インテルの描くドローン産業の近未来は、熟練したパイロットを不要にする自律飛行プログラムにより、ドローンはデータを生成する飛行ロボットとして、正確に対象物の撮影を行うようになる。その結果、定期的な点検や調査が可能になり、収集した膨大なデータを解析する段階で、インテルの半導体製品や各種ソリューションを利用する。これら一連のサービスをインテルではワークフローとして整理している。

インテルが提供する3つのドローン関連ソリューション

産業用ドローンのサービス向けワークフロー

 もちろん、現時点ですべてを自動化するのは難しい。特に、ドローンの安定した飛行のためには、まだまだ多くの技術革新が求められる。そこでインテルでは、REALSENSEという障害物回避システムや、画像認識型AIのMovidiusに、ドローン開発者向けのキット販売などを通して、ドローン技術の革新や向上にも取り組んでいる。また、インテル以外にもドローンの自律飛行に向けたAIやエッジコンピーティングを推進するベンチャー企業や半導体メーカーもある。こうした企業間の技術競争により、近い将来にはインテルの目指す「完全な自律飛行によるデータ収集マシン」としての産業用ドローンが、広く普及していく可能性は高い。

インテルのドローン関連のイノベーション

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