【ドローン × AI】NVIDIAのAIドローンが新たな自律飛行を目指す

【ドローン × AI】NVIDIAのAIドローンが新たな自律飛行を目指す

AIの先端技術を開発する米国NVIDIA社は、ロボットやドローンとAIの活用が、新たな市場を創出すると予測する。NVIDIAのセミナーから、AIドローンの新たな可能性を探る。(田中亘)


ドローンの自律飛行の鍵を握るのはAI推論エンジンの進化

AIドローンを実現する深層学習モデル

 NVIDIA社が得意とするAI技術は、高度な画像認識を基盤とした深層学習モデルによる推論。フレームワークと呼ばれるAI学習モデルを用いて、画像などの学習データを大量に投入し、そこから得られたDNN(深層学習)モデルを用いて、ドローンやロボットなどの自律航行に求められる推論エンジンを生成する。NVIDIA社では、この推論エンジンを搭載したAIドローンによる自律的な飛行が、ドローン産業における大きなチャレンジだと捉えている。
 それに対して現在のドローンの多くは、人手による操縦を補助するために、機体に取り付けたカメラや赤外線センサーからの情報を解析し、障害物を検知して操縦者に警告したり、回避や停止などの処理を行う。現状の技術でも、飛行の安全性は確保できるものの、近い将来の実現を目指している目視外での完全な自律飛行には、不十分な技術となる。未来のAIドローンに求められているのは、「考えて飛ぶ」技術になる。そこで、世界をリードするAIプラットフォームを提供するNVIDIA社では、AIによる自律飛行ドローンの研究開発に取り組んでいる。

ドローン産業の繁栄には自律飛行ドローンの実現が不可欠

自律飛行ドローンが活躍する産業分野

 NVIDIA社が自律飛行ドローンの実現に挑戦する背景には、産業用ドローンに求められる潜在的な需要の大きさがある。例えば、中国では年間に300億個の速達小包が配送されている。また、農業技術は2050年に70%の生産率向上を実現しなければ、現在の人口増加を支えきれない。そのためには、農業分野で活躍するドローンの存在が不可欠となる。そして、米国だけでも500万を超える橋梁やセルタワーにタービンなどのインフラ検査も、持続的な社会において重要な課題であり、ドローンの利活用が必須となっている。さらに、米国では1万8千の警察署があり、治安の向上におけるドローンの活用が検討されている。この他にも、人命救助などにおいて、最初の48時間で救出できるかどうかが生存率を10倍近く左右することから、ドローンによる救助の可能性も模索されている。これらの産業用途において、飛行のたびに操縦者が目視で操作しなければならないドローンでは、十分な産業貢献が実現しない。人手による操縦ではなく、AIで自律飛行するドローンの実現こそが、産業用ドローンの発展と繁栄に大きく寄与するとNVIDIA社は捉えている。

JETSONを搭載したドローンの数々

JETSONを搭載したAIドローンが真の自律飛行を実現する

 NVIDIAのAIドローンの中核となる技術は、JETSONというカードサイズの小型AIコンピュータ。JETSONを搭載することにより、ドローンは深層学習で得られた「推論」を搭載して自律的な飛行を可能にする。例えば、JETSONで画像認識を学習したAIドローンは、空からカメラで撮影した画像を解析して、人物や対象物を発見できるようになる。また、インフラ点検ではヒビや破損などの問題を検出できるようになる。
 NVIDIA社でも、独自にJETSONを搭載したドローンの研究開発を推進し、ドローンの自律飛行にチャレンジしている。プロジェクトREDTRAILと呼ばれる自律飛行ドローンへの挑戦では、オープンソースのオートパイロットプログラムに対して、カメラで撮影した画像をTrailNet DNNというAIでリアルタイムに解析し、ドローンの飛行制御コントロールを指示して障害物を回避する。同ブロジェクトでは、飛行させる山林を事前に撮影し、その画像を学習データとしてTrailNet DNNに投入し、AIドローンの自律飛行を実現している。その様子は、動画でも公開されAIドローンが山林の中の障害物と林道を認識して自律飛行する様子が確認できる。NVIDIA社では、このTrailNet DNNを含めたredtailをオープンソースとしてGitHubで公開し、誰でも利用できるようにしている。
 さらに、NVIDIAのAI技術を活用した最新のAIドローンとして、Skydio社が被写体を追従しながら障害物を避けて自律飛行するR1という完全自律型ドローンも製品化している。

プロジェクトREDTRAILのシステム構成図

GitHubのredtail:
https://github.com/NVIDIA-Jetson/redtail

Skydio R1ドローン:
https://www.dronetimes.jp/articles/2582

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