エアロセンス株式会社 「国産ドローンで測量サービスを事業化」

エアロセンス株式会社 「国産ドローンで測量サービスを事業化」

ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社と株式会社ZMPの共同出資によって、2015年8月に設立されたエアロセンス株式会社は、自律型無人航空機(UAV)とクラウドサービスを組み合わせた産業用ソリューションを提供する企業。ドローンの機体からクラウドサービスまでを自社で設計開発し、業務ニーズに合わせたソリューションを提供


かさ上げすすむ南三陸町90haを3日間で測量した実力

エアロセンスは、2016年3月末に自社製のドローンを使い、南三陸町で震災復興工事をしている約90ha(東京ドーム19個分)の土地を3日間で測量した。測量はドローンで空撮した画像を元に、土地を3Dモデル化して3D CADの造成計画図と合成した。その結果、従来の手法と比べて約1/3の工期で、90ha全域における盛土工事の進捗を高精度に可視化した。

同社の強みやビジネスモデルについて、新井野翔子氏は次のように話す。
「当社は、ドローンを作っている会社であると同時に、そのドローンを飛ばして収集したデータを解析し、お客様に必要な情報へと加工するまでのサービスを一貫して提供できる会社です。このビジネスモデルのおかげで、飛行から解析までに発生した課題なども、迅速に設計者などにフィードバックできるので、スピーディーな開発とビジネスの展開ができるのです」
エアロセンスを設立したソニーモバイルコミュニケーションズは、カメラ・センシング・通信ネットワーク・ロボット分野における技術を持つ。一方のZMPは、自動運転・ロボット技術・産業分野へのビジネス経験がある。その両社の強みを活かして、ドローンとクラウドサービスを組み合わせた産業用ソリューションをビジネスとして提供している。南三陸町での測量は、自動飛行が可能な自社製ドローンを制御して、1日約10回のフライトを3日間行い、90haという広大な土地を正確に測量した。
「当社のドローンは、完全な自動運転を可能にしています。PCからドローンに測量地域を定義し、高度などの情報を入力すると、離陸から撮影に着陸まで、一連の作業をすべてオートパイロットで行います」と新井野氏。
南三陸町の他にも、同社の事例では岩手県の館ヶ森アーク牧場の3Dモデル作成や、福島県南相馬市における除染除去物の上部シートの点検なども行っている。

クラウドを活用した飛行・処理・検知の自動化ソリューション

「南相馬市の事例では、点検するシートの1区画は約1万平方メートルで、高さがあります。また、仮置き場は160カ所に及ぶので、人手による定期的な点検は、コストも時間もかかるため、効率よく安全な検査の方法が模索されていました。その課題を当社のドローンによる点検ソリューションが解決したのです。具体的には、ドローンで撮影した画像データをクラウドにアップロードして、その画像を自動的に解析してシートに穴などが空いていないかを検知します」と取締役の嶋田悟氏は話す。

同社の定期点検ソリューションは、自律型ドローンによる空撮からオルソ形成までの自動化技術と、GOOGLE CLOUD PLATFORMを利用した画像処理と検知の自動化により、業務の効率化と省人化を実現している。

VTOL型ドローンを開発し物流事業にもチャレンジしていく

測量や点検に使われている自律型ドローンは、4つのプロペラを備えたマルチコプタ型だが、同社では飛行翼を持つVTOL型ドローンも開発している。同社のVTOL機は、メインローターの角度を変える技術を採用し、同一のローターで垂直の離着陸と水平飛行を実現している。すでに試験飛行には成功し、最終的には時速100km以上での巡航速度と、1時間を超える飛行時間を目指している。

「このVTOL型ドローンを活用し、医薬品配送事業モデル構築に向けて、MSD株式会社とアルフレッサ株式会社と連携して、国家戦略特区での実証実験を重ねています。ドローンによる医薬品配送が可能になれば、災害時における医薬品の緊急輸送に、離島や遠隔地への配送など、社会課題の解決に寄与できます」と嶋田氏。
国産ドローンとクラウドサービスの組み合わせにより、飛行からデータ利用までのサービスをワンストップで提供するビジネスモデルを確立したことで、同社は設立から短期間で事業化を実現している。今後も、新たなサービスの提供に向けて、独自の機体設計とサービスモデルの開発を推進していく。

開発中のVTOL型ドローン

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