福島ロボットテストフィールドで不具合の実験も可能に
福島県と提携した関連団体をおさらいすると、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)、一般社団法人(JUAV)、一般社団法人総合研究奨励会日本無人機運航管理コンソーシアム(JUTM)の3団体。協定の締結の会見には、福島県の畠利行副知事、JUIDAの鈴木真二理事長、JUAVの坂口晃敏会長が出席した。JUTMはJUIDAの鈴木理事長が代表を兼務している。
JUIDAの鈴木理事長は協定締結の背景について、「政府は2018年ごろに無人地帯で、2020年代以降に第三者上空での目視外飛行を実現する方針を示していて、今年度末にはそれを実現させるために求められる機体の機能、性能、体制の要件を明らかにする方向だ。これらの動きを後押しするために実効性のある事業環境の整備が必要だ」と説明した。
福島県はドローンの実験拠点となる福島ロボットテストフィールドを整備している。提携により、広域の飛行空域、安全が確保できる設備を提供したり、今後必要となる設備を整えたりする方針だ。JUAVはドローンの統一的な安全基準の整備を進めており、安全基準に基づく機体認証、操縦検定業務で福島ロボットテストフィールドを活用。JUIDAは産業振興と人材育成に取り組んでおり、提携による体制下で安全運用のための評価手法、教育方法の確立を模索する。JUTMは安全確保のための運航管理の技術開発、ルール形成、精度設計に取り組んでおり、事故調査の検討が進む見通しだ。
会見では、福島県の畠副知事が「相互協力が可能となる協定の締結ができたことに感謝している。東日本大震災で大打撃を受けたいわゆる浜通り地域の再生を通じて、地方創生のモデルにしたい」とあいさつした。JUAVの坂口会長は「2004年に設立した国内で最初の産業用無人機の団体としてこれまでの蓄積を安全確保につなげたい」と抱負を述べた。またJUIDAの鈴木理事長は「知見を集めるためにわざと不具合を起こし、そのデータを取得することが可能になることを歓迎したい」と述べた。
福島県などは今後、機体、操縦、運用、運航管理の認証方法、認定、検定手法を具体化させ、公開していく方針だ。