オプティムが世界初となるドローンによるピンポイント農薬散布テクノロジーに成功

オプティムが世界初となるドローンによるピンポイント農薬散布テクノロジーに成功

AIやIoTにドローンを駆使してスマート農業に取り組む株式会社オプティム(本社:東京都港区、代表取締役社長:菅谷 俊二、以下「オプティム」)は、大豆の生育管理でドローンによるピンポイントの農薬散布に成功したと発表した。


ドローン☓AIで大豆のハスモンヨトウの幼虫による虫食いを検知

スマート農業ソリューションを全国の農家に展開すると話すオプティムの菅谷俊二代表取締役社長。

 オプティムが成功したスマート大豆プロジェクトは、佐賀県佐賀市川副にある88a(エーカー)の圃場を2つに分割し、一方の44aは通常の農法で、もう一方の44aはドローンとAIを活用したスマート農業を実施した。育てた品種はクロダマル(黒大豆)で、2017年7月に種を蒔き、10月にえだまめを収穫し、12月に大豆を収穫した。通常の大豆畑では、従来の方法で全面に農薬を散布し、スマート農業用の大豆畑では、ピンポイントで農薬を散布した。その方法は、最初に自動飛行によるマルチコプターで空撮を行う。次に、撮影された画像をAIで解析し、ハスモンヨトウの幼虫による虫食いが発生している箇所を特定する。そして、害虫による被害が発見されると、その場所の位置データを元にドローンが自動飛行で農薬を散布する。
 今回のピンポイント農薬栽培は、ハスモンヨトウの幼虫による虫食い被害のみを対象として、2度にわたってドローンによる薬剤の散布を行った。そして収穫後に、佐賀大学農学部の渡邉啓一教授による監修で、佐賀県の環境計量証明事業者による検査を行った。検査は、2つの大豆畑から5カ所ずつ株を採取し、ガスクロマトグラフ質量分析で測定した。その結果、ピンポイント農薬散布栽培による大豆は、エトフェンプロックスやクロラントラニリプロールなど5種類の農薬において、3〜0.3ppmの範囲で検出された通常の大豆に対して、不検出となる0.01ppm以下の数値を示した。
 さらにオプティムでは、ピンポイント農薬散布栽培で収穫された大豆に「スマートえだまめ」と命名 し、福岡県の福岡三越で通常の大豆(えだまめ)の約 3 倍の価格で売り完売した。この結果を踏まえて、発表会に臨んだ菅谷俊二代表取締役社長は、「世界初のピンポイント農薬散布テクノロジーとスマート農業ソリューションを全国の大豆生産者の方々に無償で提供します」と切り出し、このソリューションで生産された大豆を「すべてオプティムが買い取ります」と宣言した。

スマート大豆プロジェクトによるピンポイント農薬散布の手順

AIによる害虫検出の仕組み

スマートえだまめ・だいず栽培とスマート米の栽培生産者を募集

圃場のセンシングを行った固定翼型ドローン「OPTIM Hawk」。

 オプティムが募集する2018年度「スマートえだまめ・だいず」栽培生産者には、スマート農業ソリューションを無償で提供する。全160ha分を市場価格相当で全量の買取を予定している。その数量は、北部の九州地区での1%に相当し、275トンの収量を想定する。対象とする品種は、普通大豆と黒大豆になり、募集期間は2017年12月26日から2018年3月31日。詳細はオプティムのスマート農業ソリューションWebサイトに掲載される。
 今回の「スマートえだまめ・だいず」栽培に協力した株式会社イケマコの池田大志代表取締役は、「農薬散布の考え方が変わりました」とピンポイント農薬散布の成果を評価している。
 さらに、グライダー型のUASを活用して広域な田圃のセンシングに取り組んできた「スマート米」も、2018年度に向けて栽培生産者を募集する。こちらも、大豆と同様にスマート農薬ソリューションを無償で提供し、市場価格相当での全量買取を約束する。詳しくは、スマート農業ソリューションWebサイトに掲載される。
 発表会の最後に菅谷氏は「AIとIoTによって、アグリテクノロジーは世の中を変えると信じています。ドローンを活用したスマート農業ソリューションには、無限の可能性があります。今回の栽培生産者の募集は覚悟を決めた投資です。今後は、ロボティクス事業部の体制強化や佐賀大学などにも協力してもらい、多くの大豆や米の生産者に、ピンポイント農薬散布テクノロジーとスマート農業ソリューションを提供していきます」と話す。

発表会場で配布されたスマート米(手前)とOPTIMの「Agri Drone」。ピンポイント散布機能もある。

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