物流ドローンの機体は〝アラームレッド〟に JUIDAが「物流ガイドライン(案)」公表 飛行空路設定も提案

物流ドローンの機体は〝アラームレッド〟に JUIDAが「物流ガイドライン(案)」公表 飛行空路設定も提案

 ドローンによる物流実現に向けた制度整備の必要性が叫ばれる中、ドローンの業界団体、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は22日、議論の土台となる「JUIDA物流ガイドライン(案)」を公表した。幅100㍍、高さ60㍍の一方通行の飛行空路設定や、機体の色をアラームレッドと呼ばれる赤にすることなどを盛り込んだ。


運用のベースは自主規制 議論の活発化、新規参入を期待

 JUIDAが公表したガイドライン(案)は、eコマースの市場拡大が今後も見込まれる半面、物流業界の人材不足が深刻化するなど、業界の現状を踏まえた。民間企業・団体による自主規制の色彩が濃く、ドローンの物流利用指針を規程することで、議論のさらなる活発化や、事業の合理化の推進、新規参入拡大への貢献を目指している。ドローンの物流利用にかかわる具体的な指針が示されたのは今回が初めてで、JUIDAはこれを今後の議論の土台にしたい考えだ。
 内容は「1、ガイドライン策定の背景」、「2、ガイドラインの目的」、「3、ガイドラインの前提条件」、「4、ガイドライン(案)」、「5、ガイドラインの管理」の5章で構成されている。具体的なルールは「4、ガイドライン(案)」に15項目が記され、「(2)飛行空路」、「(3)機体」、「(7)機体の登録」などが盛り込まれている。
 ガイドライン案では、山間部や島嶼部の2地点間を、目視外飛行で運用されることを想定しており、機体はマルチコプターを想定している。

物流ガイドライン案を公表したJUIDAのホームページ。
https://uas-japan.org/news/6635/

空域は幅100㍍高さ60㍍、機体は「アラームレッド」

 それによると物流事業者がドローンを使う場合には、原則、予め設定された「飛行空路」だけを使う。空路は水平方向(幅)100㍍、高さ60㍍で、一方通行。衝突回避は有人機のルールと同じにする。娯楽などの飛行には、空路を避けてもらうよう周知する、などとしている。
また、機体は重量に耐えられるよう「機体強度は最大荷重の1・5倍」と規程。前方180㍍以内の航空機やドローンを検出、回避できる機能を持つことを定めているほか、機体全面を「JIS Z 9104(アラームレッド)」にすることや、航空局からの申請番号を記したナンバープレートを機体に掲示することを求めている。

第三者機関が登録番号を発行、適合検査実施

 このほか、第三者機関を設置し、物流事業者が使うドローンはこの機関に登録して登録番号を取得すること、定期的に適合検査を受けることなどを盛り込んだ。
 ドローンの物流利用については、安倍晋三首相が2015年12月、3年以内の制度整備について発言して以来、関係者の間で整備に向けた議論が展開。「官民協議会」のもとに議論が進められ、具体的な議題について分科会が設置されている。JUIDAは今後、会員などから意見を聴取し修正の要否などを判断。2018年3月に開催するドローン専門の大規模展示会「JapanDrone2018」でガイドラインの最終版を示す予定だ。また、今回前提とした条件とは異なる条件でのガイドラインも検討する。

「厳しい利用環境での安全確保策としての案」千田座長

官民協議会作業部会の千田泰弘座長(JUIDA副理事長)に話を聞いた

――物流ガイドライン(案)を公表した理由は?
「物流利用を実現するには制度が必要で、制度を整備するうえでは、議論の土台となる案が必要です。JUIDAは以前から物流の制度整備の必要性を考えており、国の議論にもお役に立てるだろうと考え、今回これを策定し、公表することにしました」
――中心となる考え方は?
「物流でドローンを使うということは、第三者上空を、目で見える範囲を超える目視外で、重い荷物を、高い頻度で飛ばすことになります。ほかの利用と比べて、厳しい環境で利用することになります。その安全確保策をガイドライン案でJUIDAなりにまとめてみました。発想は自主規制です。このエリア以外は例外をのぞいて飛ばさない、この機体しか飛ばさない、この方法でしか飛ばさないというものです」
――今後は?
「これはあくまでも議論のたたき台です。これでなければいけない、などというつもりはなく、むしろ多くの方に議論をして頂き、意見も頂きたいと思っています。これが有効であるかどうかも試してみて、修正を加えてよりよいものにしていただきたいし、よいものをつくる議論の一助になればうれしいと考えています」

物流ガイドライン案について、ドローンタイムズの質問に答えるJUIDAの千田泰弘副理事長。

JUIDA 物流ガイドライン(案)について

目次
● JUIDA 物流ガイドライン(案)について
● 1.本ガイドライン策定の背景
● 2.ガイドラインの目的
● 3.ガイドラインの前提条件
● 4.ガイドライン(案)
(1).リスクアセスメント
(2).飛行空路
(3).機体
(4).異常監視
(5).機体情報の遠隔監視方法
(6).ハッキング対策
(7).機体の登録
(8).機体検査
(9).操縦者
(10).離発着場
(11).保険
(12).事故発生時
(13).運用
(14).輸送業務
(15).禁制品
● 5.ガイドラインの管理

2015 年に首相から無人航空機を用いた荷物配送について言及があった事に端を発し、無人航空機は国家の成長戦略の一つと位置付けられ、2017 年度の「経済財政運営と構造改革 に関する基本方針」の中でも Society5.0 を実現するための戦略分野として無人航空機の産 業利用の拡大が組み込まれています。 また、e コマースの市場拡大の影響により、日本では物流の市場が拡大しており、2014 年 度の営業収入ベースでは 25 兆円の市場規模となっています。このような状況下において、 物流業界の人材不足が深刻な問題となっており、物流業界における自動化・省力化は急務の 課題となっております。 そのような状況において、本ガイドライン(案)は、民間企業が主体となり無人航空機運用の指針を規定することにより、無人航空機を用いた物流事業の合理化、や事業への新規参
入を促すことを通じて、拡大する市場需要に応え、わが国の経済の発展を促進することを目 的としています。 本ガイドライン(案)の作成においては、過去 3 回の作業 WG を開催し最大 26 の委員メ ンバーに参加頂きました。メンバーの構成としては、物流会社や通信会社、弁護士、損害保険会社、国立研究機関、機体メーカー、電力会社、ドローンサービス提供会社など幅広い企業の協力を得るとともに、オブザーバーとして関連行政機関などが参加し、多角的な視点か らガイドラインを検討しております。

1.本ガイドライン策定の背景

2015 年にわが国首相より、無人航空機を用いた荷物配送について政府として積極的に取 り組んでいく旨の発言があった事を受け、無人航空機産業の育成は国家の成長戦略の一つと位置付けられた。2017 年度からは「経済財政運営と構造改革に関する基本方針」の中でも Society5.0 を実現するための戦略分野として無人航空機の産業利用の拡大が組み込まれている。 また、e コマースの市場が拡大している影響で、日本では物流の市場が拡大しており、2014 年度の営業収入ベースでは 25 兆円の市場規模となっている。 斯かる状況下、急激な市場拡大に人材の供給が追い付かないことから、業界の人材不足 が深刻な問題となっており、物流業界における自動化・省力化は急務となっている。 また、海外ではフランス、イギリス、ドイツ、スイス、カナダ等においてが無人航空機配送の事業が既に開始あるいは長期に亘る事業可能性の試験が行われるなど、無人航空機によ る物流が実現しつつある。 一方で、本年になり初めて有人航空機と無人航空機が衝突する事故が発生するなど、無人航空機の運用の増加につれ既存では考えられなかった事故などが予見されることから、 安全を確保する為の枠組みが求められている。 JUIDA では、懸る情勢を鑑み、国、地方公共団体、事業者、国民及び民間の団体といった多様な主体の参画・連携により、わが国における無人航空機を用いた物流に関する取り組みを推進するための一助となるべく、民間ベースによるガイドラインの作成を決定した。

2.ガイドラインの目的

本ガイドラインは、無人航空機を活用した物流の分野において、安全に運用が行われる事を意図し、民間企業による自主的な規制を促す為、無人航空機による物流を実施する際に事業者が取り組むべき指針を規定するものである。無人航空機を用いた物流への事業者の参入を促すことを通じて、拡大する物流市場需要に応え、わが国の経済の発展を促進することを目指す。

3.ガイドラインの前提条件

無人航空機を活用した物流においては、多岐に亘る運用方法が想定される。本ガイドラインにおいては、最も早期に実現されると想定される運用方法に絞って、ガイドラインを作成する。具体的な前提条件は次のとおりとする。

【前提条件】
①過疎地(山間部・島嶼部など)での運用を想定
②2地点間単機飛行を想定
③目視外飛行による自動航行を想定
④運用機体はマルチコプターを想定

4.ガイドライン(案)

(1).リスクアセスメント

物流事業者等は運用を開始する目に、事故が発生するリスクを最小限にすべく、運用における全ての危険源を事前に想定し、その回避策、低減策、事故発生時の被害低減策に関して、本ガイドラインを参考に十分な検討を行い、事故の影響が許容されうる範囲に収まるようなリスク管理を実施する。

(2).飛行空路

物流事業者等は定点間にリスクが最も少なくなるような飛行空路を設定し、この利用を物流
事業の利用に限るものとする。また、広く一般への空路の周知に協力する為、空路を設定するにあたっては空路の情報につき JUIDA に情報共有するものとする。
a. 空路は水平方向幅 100m、上下方向 60m とし、一方向の飛行とする。
b. 物流ドローンは航空機の侵入などの異常時の回避飛行を除きこの空路外での飛行は行わない。有人機には最優先権が与えられており、先立って回避する必要がある。
c. 回避飛行を行う際は有人機のルールに則るものとする。
d. 空路の設定は、地権者など関係者の理解等を得られるような方法・態様により行う。設定された空路等を実務上可能な手段により広く一般に周知し、社会的な認知を促進する。 娯楽のためのドローンの飛行はこの空路を避けるよう周知を行う。
e. 送電線上空や電波塔上空の空路設定は a の原則にとらわれず電力会社や通信会社等との協議により適切に決めること。

(3).機体

物流用ドローンは稼働率が高く、機体の負荷も大きい。また事故時の第三者に与えるリスクも大きいので、物流事業者が運用に用いる機体の安全ガイドラインを次のように定める。
a. 機体強度は最大荷重の 1.5 倍以上とする。
b. 動力の故障に対し、可能な限り自由落下や操縦不可能状況を防止するためのフェールセーフ機能を具備すること。動力が停止しても自由落下しないようにすること。地上第三者に対する衝突緩和、衝突時のダメージ緩和機能を持つこと(パラシュート、インフレータブル装置、地上接近時のプロペラの回転停止等)
c. 人間の視野角相当の前方 180m(※)の空域内にある航空機、ドローン等を検出し、回避する機能を具備すること。
d. 物流マークの表示 機体の色彩 全面 JIS Z 9104(アラームレッド) 登録番号表示、右翼端に緑色,左 翼端 に赤色,尾部には白色の灯火、上部に閃光灯を具備すること。また、航空局からの申請 番号を記載したナンバープレートを機体の見えやすい位置に掲示すること。
e. 墜落してもデータが確認可能又はなんらかの方法で復元可能な飛行ログ装置を搭載すること。
f. 最大積載可能貨物を搭載した場合、想定される外部擾乱に対し、安定に飛行できること。 また、想定される積載量の変化、重心の移動に対しても安定に飛行できること。
g. 耐風性は WMO 風力(ビューフォート風力階級)で表示すること。表示を超える風速では飛行しない。
h. 耐水、耐塵性は IEC 規格で表示すること。
i. 落雷対策を講じること。
j. 騒音基準は環境省の定める【騒音に係る環境基準】をクリアすること。
k. 確実に機体を遠隔制御できること、またコントロールチャンネルは二重化すること。
l. 適切な頻度で必ず定期点検を行うこと ※時速 100km で対面飛行する場合に、衝突までの回避時間 3 秒を確保する為の距離。

(4).異常監視

以下のいずれかの状態にあるとき、機体が正常に飛行することができないまたは正常に飛行できない可能性が高いと判断する。
a. 運行管理システム上で認識できない場合。
b. テレメトリー情報が継続的に受信できない場合。
c. 機体からのカメラ映像が継続的に受信できない場合。
d. 機体の動作と操作指示に乖離がある場合。 物流事業者等は機体が上記のような異常状況にある場合、安全機構及びフェールセーフ機能による衝突緩和措置をとり、直ちに飛行を中断すること。

(5).機体情報の遠隔監視方法

物流事業者等は運用にあたって運航管理システムを利用すること。飛行制御リンク、飛行状況の C2 リンクは確実に正常に動作すること。

(6).ハッキング対策

機体のネットワーク接続を行う場合、物流事業者等はウイルスやなりすましなどへの対策を備えること。また、機体の横取りが発覚した場合は、速やかに航空局および警察に報告すること。

(7).機体の登録

物流事業者は運用に供する機体について第三者機関等に登録し登録番号を取得すること。

(8).機体検査

物流事業者は運用に供する機体について定期的に第三者機関等による適合検査を受けること。

(9).操縦者

物流事業者は運用を行う操縦者について、航空法に定める目視外飛行を行う場合の「無人航空機を飛行させる者に関する飛行経歴・知識・能力」の要件を満たし、かつ 10 回以上の目視外飛行経験を有すること。

(10).離発着場

物流事業者等は使用するドローンの最長より直径 5m の円を離発着場として設置すること。 この中にドローンポートなどの離発着支援装置を設置すること。離発着場は第三者の接近を禁止する措置を講じること。また、地上に離着陸場である旨の表示を何らかの方法で行うこと。

(11).保険

物流事業者等は事故発生に備え以下の対策を行うこと。
a. 無人航空機製造業者は PL 保険に加入すること。
b. 物流事業者は保険の締結等十分な損害賠償資力を有すること。また受託貨物に対する 賠償責任の範囲を約款に明記すること。

(12).事故発生時

物流事業者等は(1)に定めるリスクアセスメントを行い、事故のないように万全の注意を期 すことを前提としつつ、万一の場合の以下のような措置を参考に講じること。
a. 負傷者を救護する
b. 航空局及び警察へ事故の届出をする
c. カメラ等により事故現場の記録をする
d. 可能であれば目撃者を確保する
e. 保険会社へ報告する

(13).運用

物流事業者等は運用に際して以下に留意し、事前に運用マニュアルを策定すること。
a. 事業者は所定の資格及び認定の届出を、無線免許の登録と併せて行うこと。
b. 事業者は操縦者、安全運航管理者を併せて配置すること。
c. 事業者は申請した事業内容に基づき、事業者内での訓練を設定すること。また その内容を航空局への飛行申請時に添付資料として提出すること。
d. 事業者は従業員に対して安全配慮に関する注意喚起義務を負う。

(14).輸送業務

物流事業者等は輸送業務に際して以下に留意すること。
a. 荷札には依頼主・受取主間で相互に確認をとることができ、かつ他者から内容を読み取られることのない方法で情報を記載すること。また、離着陸場所を記載すること。
b. 荷札の様式(紙・シール・認証コード等)については、事業者に一任する。
c. 貨物の形状については、極端に風の抵抗を受けないという前提のもと、事業者に一任する。

(15).禁制品

物流事業者等の輸送に係る禁制品について一般の宅配物や郵便物の禁制品に準ずる。
a. 爆発性のもの、発火性のもの、引火性のもの、可燃性ガス
b. 強酸性及び強アルカリ性のもの、有害有毒物質、放射性物質、病原体
c. 現金・小切手、クレジットカード・キャッシュカード、パスポート・車検証
d. ペット類、銃砲刀剣、その他法令の規定または公序良俗に反する荷物

5.ガイドラインの管理

ガイドラインの管理はJUIDA理事会で行うものとし、法律の改正状況等に応じて適宜改定を行うものとする。

以上

今後の予定

本ガイドライン(案)をベースに JUIDA 会員の意見を聴取し、2018 年 3 月に幕張メッ セで開催される JUIDA 主催の日本最大のドローン専門展示会である「Japan Drone 2018」で最終版を公表する予定です。また今後さらに複雑な条件でのガイドラインの検討を進めることとしております。

JUIDA について

JUIDA は、近年飛躍的な発展を遂げている無人航空機システム(UAS)の、民生分野に おける積極的な利活用を推進し、UAS 関連の新たな産業・市場の創造を行うとともに、 UAS の健全な発展に寄与することを目的として、2014 年 7 月に設立されました。JUIDA は、国内外の研究機関、団体、関係企業と広く連携を図り、UAS に関する最新情報を提供 するとともに、さまざまな民生分野に最適な UAS を開発できるような支援を行っていま す。2017 年 11 月現在、正会員・賛助会員の会員数は約 4,000 人に達し、約 200 もの団 体に正会員・賛助会員として加入して頂いているほか、50 を超える自治体・学校・公共機 関にも公共会員として参加を頂いています。また、独自の事業として行っている JUIDA 認定スクール事業では全国各地で 127 スクールの認定を行っている事に加え、「JUIDA・ GOKO つくば試験飛行場」、「JUIDA・ATR けいはんな試験飛行場」 「JUIDA 富士箱根ラ ンド試験飛行場」「JUIDA 大宮試験飛行場」の運営も行っています。

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