ヘリからドローンは見えるのか NEDO、SUBARU、エンルート、プロドローンが南相馬で実験

ヘリからドローンは見えるのか NEDO、SUBARU、エンルート、プロドローンが南相馬で実験

 ヘリコプターの操縦者は、ドローンを見ることができるのか、などについて、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)と関連事業者が、12月15日、福島県南相馬市に整備中の復興工業団地内福島ロボットテストフィールドで実験し、その様子を公開した。


衝突回避のルールづくりのための基礎資料づくり

 実験に参加した事業者は、株式会社エンルート、株式会社スバル、株式会社プロドローン。実験は福島県、福島県南相馬市の協力を得て行われた。パイロットの乗った有人ヘリから150メートル離れた場所に、2種類のドローン1機ずつと、無人ヘリのあわせて3機を設置して行われた。
 まず、ドローンや無人ヘリを1機ずつ、高度30メートルの上空まで離陸させ、ヘリコプターの操縦席からは、空を背景にホバリングするドローンがどう見えるかどうかについてモニターした。次に、ドローン、無人ヘリの3機を地上に設置したままで、ヘリコプターが30メートルの高さまで上昇し、地上の機体の見え方を確認した。
 ドローン、無人ヘリにはカメラが搭載してあり、ドローンなど側からヘリがどうみえる7かについても同時に検証した。
 この実験は、ドローンと有人機との衝突回避の基本ルール策定を見据えた基礎データ取得実験の一環。ルール制定に、①有人ヘリからドローンを視認できるか②有人ヘリのダウンウォッシュ(プロペラが吹き下ろす風)はドローンの飛行に影響を与えるか③ドローンの回避にどれぐらいの時間が必要か④ドローンのカメラから有人ヘリを視認できるかーの4つの課題を設定し、この日公開された実験は、①の一部だ。

ヘリコプターからの視界。地上の無人ヘリとドローンはどの程度見えるのかを検証した

ドクターヘリ出動増加で、ルール策定、喫緊の課題に

 飛行機や船では、衝突しそうになった場合、どんな行動を取るべきかについて定められているが、ドローンについては現在、ルールはない。ドローンは上空150メートルまでを飛ぶことが多いが、ドクターヘリの緊急出動回数の増加に伴い、ドローンとの衝突回避ルール策定の緊急性が高まってきた。
 今回の実験で得られたデータは、今後、衝突回避性能評価基準の策定に役立てられる。
 この日の実験で使われた機体は、有人ヘリコプターが「ユーロコプター AS355」、無人ヘリが「ヤマハ発動機 FAZER」、ドローンは、プロドローン製「SkymatiX X-F1」、エンル-ト製「QC730」だった。

NEDOの公表したプレスリリースは以下の通り

NEDOと(株)SUBARU、(株)エンルート、(株)プロドローンは、福島県と南相馬市の協力のもと、福島県南相馬市の復興工業団地内福島ロボットテストフィールド整備予定地において、日本初となる同一空域での有人ヘリコプターと無人航空機の安全性能試験を実施しました。

本試験は、12月11日から順次実施しているもので、具体的には有人ヘリコプターと無人航空機の安全離隔距離を明確にする相互の視認性確認を実施しました。

今後、12月下旬にかけてさらに試験を重ね、得られた知見をもとに、無人航空機の衝突回避に関する性能評価基準の策定に貢献します。

なお、今回の試験は、本年11月22日にNEDOと福島県が締結した「福島ロボットテストフィールドを活用したロボット・ドローンの実証等に関する協力協定」の取り組みの一環です。

1.概要

現在、国内におけるドローンなどの無人航空機の運用件数は増加傾向にあり、また、ドクターヘリ等の低高度での有人機飛行も年々増加しています。これに伴い、有人航空機と無人航空機のニアミス事案の実例※1が国内で報告されており、有人航空機と無人航空機の衝突回避の性能評価基準は喫緊の課題となっています。

このような背景のもと、NEDOは「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト※2」において、ドローンなどの無人航空機の目視外飛行および第三者上空飛行を見据えた衝突回避に関する安全性能の評価基準の開発に取り組んでいます。

今般、NEDOと株式会社SUBARU、株式会社エンルート、株式会社プロドローンは、福島県と南相馬市の協力のもと、日本初となる同一空域における有人ヘリコプターと無人航空機の安全性能試験を実施しました。本試験は、12月11日から順次実施しているもので、具体的には、福島県南相馬市の復興工業団地内福島ロボットテストフィールド※3整備予定地において、有人ヘリコプターと無人航空機の相互の視認性確認を実施しました。本試験において、衝突回避に関する安全性能評価基準策定に必要となる各種データを取得することができました。

今後、12月下旬にかけてさらに試験を重ねるとともに、有人ヘリコプターからのダウンウォッシュ(吹き下ろし)※4影響確認試験なども実施し、これら試験で得られた知見をもとに、無人航空機の回避性能の開発を進め、無人航空機の衝突回避に関する性能評価基準の策定に貢献します。

なお、今回の試験は、本年11月22日にNEDOと福島県が締結した「福島ロボットテストフィールドを活用したロボット・ドローンの実証等に関する協力協定※5」の取り組みの一環として、福島浜通りロボット実証区域※6を活用して実施されたものです。

2.試験の内容

福島県南相馬市で実施した試験の内容は以下の通りです。

有人ヘリコプターおよび無人航空機の相互視認性確認試験
有人ヘリコプターの操縦士から見た無人航空機の視認性と無人航空機のカメラ等を通じて見た有人ヘリコプターの視認性について評価しました。

(主な試験内容)
・国内で市販、飛行実績のある複数の無人航空機と有人ヘリコプターを用いて、相互に距離に応じた視認性を確認
・灯火、塗色により視認性を向上させた無人航空機の視認性を確認
・有人ヘリコプター、無人航空機を相互に飛行させ、背景を空・地面とした場合の視認性を確認

なお、本試験においては、無人航空機向け総合気象情報提供機能※7として、一般財団法人日本気象協会が有人ヘリコプターおよび無人航空機の離発着場でのドップラーライダー※8による上空の風観測を行い、その観測データと試験エリア付近の気象予測を無人航空機の運航者へ試験提供を行いました。

【用語解説】
※1 有人航空機と無人航空機のニアミス事案の実例
「航空機と無人航空機、無人航空機同士の衝突回避策等について(国土交通省航空局、2016年11月8日)」のp.16参照。


航空機と無人航空機、無人航空機同士の衝突回避策等について


※2 ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト
プロジェクト期間は2017年度~2021年度の5年間で、2017年度予算は33億円。

ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト

※3 福島ロボットテストフィールド
物流、インフラ点検、大規模災害などに活用が期待される無人航空機、災害対応ロボット、水中探査ロボットといった陸・海・空のフィールドロボットを主対象に、実際の使用環境を拠点内で再現しながら、研究開発、実証試験、性能評価、操縦訓練を行うことができる研究開発拠点。福島県南相馬市及び浪江町で2018年度から順次開所予定。
※4 有人ヘリコプターからのダウンウォッシュ(吹き下ろし)
ヘリコプターの飛行中に、ヘリコプターの下方に発生する下向きの気流。
※5 福島ロボットテストフィールドを活用したロボット・ドローンの実証等に関する協力協定
NEDOと福島県の連携を強化し、「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」において福島ロボットテストフィールドを積極的に活用することでロボット・ドローンの実用化を加速させ、福島イノベーション・コースト構想の推進とロボット・ドローン産業の活性化を図るべく、2017年11月22日に締結された協定。

NEDOと福島県がロボット・ドローンの実証に関する協力協定を締結

※6 福島浜通りロボット実証区域
物流、インフラ点検、災害対応などに活用するロボット・ドローンに関連した事業に取り組む企業、大学、研究機関などに向けて、福島県が仲介し、県内の橋梁、ダム、河川、山野などを実証試験や操縦訓練の場として提供する制度。2015年度以降、90件以上のべ350日間以上の活用実績がある(2017年11月時点)。
※7 無人航空機向け総合気象情報提供機能
「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」において、無人航空機の利活用拡大と安全で効率的な無人航空機の運航の実現を目指してNEDOと一般財団法人日本気象協会が開発に取り組んでいる。詳細は以下を参照。

ドローン向け気象情報提供とドローンによる気象観測の実証試験を南相馬市で実施へ

※8 ドップラーライダー
ドップラーライダーはレーザー光を上空に発射し、大気中のエアロゾル(塵、微粒子)からの散乱光を受信して、上空の風向風速を計測するリモートセンシング装置。

無人ヘリやドローンから150メートル離れたヘリが30上空メートルまで浮上し、視認の検証にのぞんだ

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