JUTMが大規模実験! 運航管理の実証と課題抽出 ドクターヘリ飛来で他のドローンに着陸要請も! 

JUTMが大規模実験! 運航管理の実証と課題抽出 ドクターヘリ飛来で他のドローンに着陸要請も! 

 多くのドローンが空を飛ぶ時代を見据え、上空でぶつからないように管理する運航管理システムを研究、開発する一般社団法人綜合研究奨励会・日本無人機運航管理コンソーシアム(JUTM)は10月26日、福島県南相馬市の市街地で、実際に複数のドローンを飛ばし、システムの運用を試す実証実験を実施した。実験には36の団体が参加した。


テーマは「人とドローンが共生する未来社会」 国際会議で発表へ

36の企業、団体が参加し、19社機のドローンがJUTMの用意したUTMシステム上で実証実験を行った=10月26日、福島県南相馬市の福島県環境放射線センター

 実験は福島県南相馬市にある福島県環境創造センター環境放射線センターに拠点を設置して行われた。会場はロボット、AI、IoTなどの代表的な実験場となる予定で建設が進む福島ロボットテストフィールドの一角や、市街地も含めた広範囲にわたるエリアとなった。
 実験を主催したのはJUTM。福島県、南相馬市、浪江町が共催し、内閣府、総務省、経済産業省、国交省が後援した。実験当日の前々日から準備を進め、実験本番まで約150のフライトを重ねた。実験には「人とドローンが共生する未来社会の実現に向けて~空域・電波管理によるドローン活用社会と減災計画」という名前が付けられた。
 市街地上空を利用し、自治体、住民も参加して、実際にサービスが提供されることを想定した運行管理実験は世界的にも例がなく、学会や国際民間航空機関(ICAO)の会合で発表するほか、グローバルUTMアソシエーションからも発表の要請が届いているという。

「空域」を「予約する」という発想での運航管理も実験

 この日の実験では、複数のドローンが同時に飛行することを想定した。それぞれのドローンは輸送や点検などの目的をもっていて、同時刻に同一空域を利用しようとしているときに、それぞれのドローンが管制チームと連絡を取り合い、安全に離陸、着陸などができるかどうかを検証した。実験なので、滞りなく連絡ができるかどうか、だけでなく、より迅速に、的確に連絡を取り合うために何が必要か、課題は何かを洗い出すことも重要で、そのらめの作業を繰り返した。
 管理面では、ドローンが飛ぶ空域について、「飛行計画管理」と「動態管理」というふたとおりの管理の手法を考察した。事業者がドローンの飛行を計画している空域を事前に予約(空域予約)すれば、その事業者は予約した時間帯に、予約したエリアを飛ばすことができるという考え方だ。
 ただし、予約したエリア、時間帯が、予約事業者によって完全に独占されてしまえば、他の事業者の利用を妨げてしまう恐れがある。これで問題になるのはドローンの離発着のための専用設備であるドローンポートの利用だ。離発着のためにドローンポートを使いたくても、別の事業者がポート周辺エリアの利用を予約している場合は、そのエリアに一律に侵入できないという事態が起きかねない。このため、ドローンポートを複数のドローンが利用しあえるよう、管理できないかどうかが検討の対象となった。
 具体的には、物流ドローンとヘリコプターがほぼ同時にひとつのドローンポートに接近し、着陸希望を出した。ヘリがひとあし早くポートに近付いていたため、「早い者勝ち」を管理原則とすれば、管制チームはヘリに着陸許可を出すことになる。しかし、ドローンとヘリでは、バッテリー性能に違いがあり、滞空時間に差があることを考慮し、管制チームはドローンに先に着陸許可を出し、ヘリに待機を要請した。
 着陸許可を受けたドローンが先にポートに着陸し、積荷を降ろし、飛び去ると、管制チームがヘリに着陸許可を出した。ヘリは着陸許可がおりるまでの間、上空で待機していたが、ガソリンエンジンを搭載し、対空性能に勝っていたため、順番にポートを利用することが可能なことが確認できた。
 このほか、ドローンが予約した空域をはずれて飛行した場合も想定。管制チームにあるモニターには空域からはずれたことが表示され、指示をするなどの対応が可能なことが確認できた。同時に、使っている電波に色をつけて、可視化させる実験や、気象データの伝送実験も実施した。

無人ヘリより先に着陸が許可された日本郵便のドローン。実験地区は住宅も多い。

後から砂煙を上げながら着陸するYAMAHAの無人ヘリ。

大規模地震発生を想定 ドクターヘリも飛来

 またこの日の実験では、ドローンの飛行中に大規模地震が発生したことも想定した。
 大地震の発生が伝わると、JUTMは「高度技術利用管理班(仮称)」を設置して、災害対策本部と連絡取り合って緊急事態対応の体制を整える。災害対策本部から、逃げ遅れ捜索のためのフライト要請と、別の場所で見つかった負傷者に止血剤を搬送するためのフライト要請が出され、それが高度技術利用管理班に正確に伝達されるかどうかが確認された。
 操縦者のいるドクターヘリが飛んでくることも想定した。実験では、ドクターヘリは飛行情報を発信しながら飛行。管制チームはドクターヘリの飛行情報を確認すると、すでにその空域を予約して飛んでいるドローンよりも、ドクターヘリの運行を優先すべきであると判断し、エリアを飛んでいるドローンに着陸を要請。ドローンは、その要請に従って着陸することで、ドクターヘリは安全に役割を果たすことができることを確認した。
 このほか、個人宅への宅配実験や、気象情報の伝達実験、画像伝送の実験なども実施された。
実験は午前9時からはじまり、午後1時に終了した。

ドクターヘリが管理空域に侵入したため出たアラート。飛行中のドローンAIST-00!には着陸が要請された。

コトバ、技術、システムの共通化を、もっと!

解説を行う中村裕子東大特任准教授。

 この日の実験で、管制チームの運行管理責任者である「チーフコントローラー」を務めたANA整備センターの信田光寿氏(同社ドローン事業化プロジェクトメンバー)は「この実験ではやってみないと分からないことが多く得られた。まずこの実験では、多くの事業者が同じ意味で使えるように用語を統一したが、その言葉を精査する必要があることがわかった。またこの実験ではドクターヘリの飛来が判明したさいに他のドローンへの着陸要請はわれわれが出したが、それは管制側がすべきか、他の権限者がすべきかなど権限の関係も考察したほうがいい」と感想を述べた。
 また、ドローンのフライトの様子を実況し、解説を加えたJUTM事務局次長の中村裕子東大特任准教授は「コトバ、技術、システムの共通化が課題となっている。コトバでは言えば、そもそも日本語でよいのかどうか、というところから始まる。いずれ国境をまたぐのであれば英語でないといけないという意見もある。それらも含めて課題が得られたことは大きい。多くの企業が未来を実現しようとして集まったという事実に意味と価値がある」と述べた。
 JUTMの鈴木真二代表は、「安全確保には情報確保が欠かせない。ドローンも各機の飛行状況を把握するためIoTの推進と信頼性の高いネットワークの構築が必要だ。今回の実験で多くのデータが取れ、知見が集まった。これらを分析し、研究開発を進めたい」とさらなる技術開発に意欲を示した。

「これだけ多くの企業、団体が集まって実験するのは世界でもあまり例がない。今回も多くの課題が分かった」と話す鈴木真二代表。

ハプニングもあった。離陸するヤマト運輸のドローン。この上空にシナリオには無い有人ヘリ(写真下)が飛来、本部のコントロールセンターには現場から電話で伝えられた。

突然実証実験上空に現れた今回のシナリオには無いヘリ。福島県警「あづま」だったが、現在のところUTMシステム上には飛来状況は反映されないという。

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