レーザーもバルーンもVTOLも集結! 「ドローン・フェス in INA Valley」が伊那市で開幕

レーザーもバルーンもVTOLも集結! 「ドローン・フェス in INA Valley」が伊那市で開幕

 ドローンの技術開発、事業展開支援を推進するドローン総合イベント「ドローン・フェス in INA Valley」が10月18日、長野県伊那市で開幕した。21日までの期間中、最新技術のお披露目、体験会、鹿検知コペンティションなどが行われる。


自治体主催のフェス「大きな価値」

 フェスはドローンで地域の活性化に取り組む伊那市が主催し、一般社団法人日本UAS産業振興協議会(JUIDA)が全体監修、ブルーイノベーション株式会社が企画・運営を担当。主催した伊那市の白鳥孝市長が、「地方には課題が山積しているが目を背けることはできない。課題解決に役立つといわれる人工知能もIoTも、実際に展開することはそう簡単ではない。そこを乗り越えるべく日本トップクラスの取り組みを間近で見られる機会が今回のフェスだ。きつい人手の作業は機械やドローンにまかせ、人は別のことに力を入れられるようになればいい」とフェスの意味を説明した。
 JUIDAの鈴木真二理事長(東大大学院工学系研究科教授)も「ドローンに地方創生の期待がかかる中、自治体がこのようなフェスを主催することは大きな価値がある。物流に代表されるような産業が生まれ、生活を豊かにし、伊那市が悩む鹿のような害獣対策の推進を通じて環境保全にもつながる。今回が技術発展と活用の推進につながることを期待したい」とあいさつした。

フェスであいさつする白鳥孝伊那市長

GPSの誤差を補正するドローンポート 風速計備え風力情報表示も

 この日は美和湖(みわこ)公園(伊那市)で、ドローン事業者が最新技術を持ち寄る「最新技術デモンストレーション」を開催。ドローン事業を手掛ける企業を中心に8団体がそれぞれの技術を紹介した。
 ドローンが離発着するための〝ドローンの駅〟ともいえる物流用ドローンポートについて説明したのは、東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻&ブルーイノベーション株式会社のチーム。JUIDA理事長の鈴木氏がこのチームを代表して、ドローンを目的地に着陸させるさい、GPS依存では10メートル程度の誤差が発生しうるが、画像認識技術の活用で修正できることなどを説明した。また、ブルーイノベーションの熊田雅之専務取締役が、複数のポートの情報を統合して閲覧ができるクラウドシステムも開発することで、物流オペレーションへの応用が期待されると説明。ポートに風速計をとりつけることで、管理画面でポートごとに着陸の可否が色分けされる様子が披露された。

ドローンポートについて説明する東大大学院工学系研究科の鈴木真二教授

プロポとの通信途切れても、目的地に荷物を届けるドローン

 災害対策に力を入れる株式会社スカイシーカー(東京)は、DJI製の「QS―8」をお披露目した。機体が荒天に強く、防水・防塵機能を示す「IPコード」で防塵等級が「5」(6段階中)と優れているほか、機体床下にカーボンボックスを備え、10キロまでの荷物を積める。
 同社企画開発・営業部の小林良太さんは「山間部などではプロポ(送信機)と機体との通信が途切れると安全装置が働き、帰還する機能を備えていることが多い。救援物資を運搬するにはそれでは困るので、新型オンボード(制御基盤)を搭載し、目的地に自動車着陸し、自動で荷物を降ろし、帰還することができる」と説明。実際に機体が自動で着陸し、荷物を降ろす様子をお披露目した。

デモフライトをするスカイシーカーの「QS-8」

1メートルわずか7グラムと軽く細いケーブルがキモの有線給電ドローン

 米サイファイワークス社製の有線ドローンを披露したのは、消防本部との実証実験などの実績がある田中電気株式会社(東京)は、長時間飛行が可能な特徴について重点的に説明した。
 長時間飛行を可能にする技術の根幹は、給電に使うマイクロフィラメントテザーケーブルで「1メートル7グラム」と軽い。頭上122メートルまで上昇させてもケーブルそのものの重量が負担にならない。このケーブルで1070ボルトの電圧を機体に送り、つなぎとめておく引っ張り強度を持ち合わるほか、10メガbpsの通信も可能だ。搭載カメラは30倍ズームが可能で、赤外線機能も搭載。この日のデモでは赤外線でくっきりとした映像を映し出した。

有線給電ドローンを説明中

赤外線カメラの画像もモニター画面にはっきりと映し出された

確実に地表をとらえるドローン搭載型レーザースキャナーの実力

 測量や地理情報に強みを持つ建設コンサルタント、株式会社みすず綜合コンサルタント(長野県上田市)は、高性能レーザーで知られるリーグル社(オーストリア)製のドローン搭載型3Dレーザースキャナー「VUX―1」を使ったデモンストレーションを実施した。
 特徴は3種類のレーザーを使うことで、樹木に覆われた場所でもわずかな隙間からレーザーが入り込み、地表データをとることができることだ。920メートルの到達距離、1秒間に50万店のデータを取得する。同時にデジタル写真も撮影することでカラーの点群データを作れる。
 この日は、画面で上空から取得したデータで地表を示すデジタルサーフェスモデル(DSM。数値表層モデル)や、デジタルエレベーションモデル(DEM、数値標高モデル)で、地表をくっきりととらえられることを示し、参加者を感心させた。同社の高藤亨仁常務取締役は「10ヘクタールの調査も1日で終えることができる」と説明した。
 操作はドローンの操縦と、レーザースキャナーのオペレーターとが2人1組で行う。機体が大きいので測量箇所に近いところまで車などで運ぶなどの運用をしているという。また上空からでは垂直に切り立った地形では、地上レーザーに優位性を譲る面もあり、「使い分けることでより正確なデータが取得できる」と説明した。
 デモフライトでは大きな機体が青空で存在感を発揮した。また価格について「レーザースキャナーだけで数千万円。ドローン本体は別。〝飛ぶマンション〟と言われている」と笑いを誘った。

3Dレーザースキャナー「VUXー1」の実力を見せつけたみすず綜合コンサルタントによるデモフライト

エンルートラボは飛ばないドローンUGV VTOL、バルーン、エンジン機も

 株式会社ラポーザ(長野県長野市)と株式会社エンルートラボ(埼玉県ふじみ野市)は、中山地域などの傾斜地でも、ツキノワグマやイノシシなど鳥獣害の生息調査や追い払いができる無人車両を公開した。30度の急斜面でものぼれる。ラポーザの荒井克人代表取締役とエルートラボ開発部の酒井貴之さんが、自動航行が可能であることや、200キロの積載応力があること、「4つのタイヤにそれぞれモーターがあり悪路も走破する」と説明した。
 株式会社クエストコーポレーション(長野県小布施町)はバルーン空撮システムを紹介した。3軸ジンバルで制御されたカメラを搭載し、機体も三菱重工の船体設計部門の特許技術で生まれた船体形状や尾翼を採用していて、秒速15メートルまでは安定した姿勢を維持できる。動力はなく、ヘリウムガスで浮かび、電動リールで上空250メートルまで浮かばせることが可能。災害地やイベントの監視用途が想定されている。担当者は「操縦ではなく係留する感覚」と説明した。
 インダストリーネットワーク株式会社(長野県岡谷市)は、垂直離着陸機(VTOL)のデモフライトを実施した。同社はこの機体を「電動双発テールシッター機」と呼ぶ。
 離陸するときには回転翼のように浮上するためホバリングもできる。浮かんだあとは姿勢をかえて飛行機のように水平姿勢で飛ぶ。長時間、長距離、高速飛行が特徴で、同社の伊藤要CSOは「どこでも発進し、どこでも着陸可能。林業の情報化に力を入れたい」と話した。
 デモでは富岡幸一郎パイロットが一連の飛行をお披露目。三角形の機体は、たておきになった姿で浮上、そのまま目の上の高さでホバリングをさせ、その後上空に浮上し、体制を水平にかえると、スイスイと飛びまわった。着陸時には、富岡パイロットがハドキャッチをして、来場者から拍手を浴びた。
 なお、同社はこのほか、手筒の形をした2軸のドローンも〝参考出品〟し、たけとんぼのようにフライトする様子を公開した。
 開催地の地元、長野県伊那市の中村クリエイトエンジニアリングは、長時間の飛行が可能なガソリンエンジン機2記を持ち寄った。1機はガソリン1リットルで1時間、もう1機は2時間以上の飛行が可能だという。開発したばかりの機体は、始動時に農機のようなエンジン音をあげ、空を舞った。
 この日の来場者はデモ終了後、関心のある機体の開発者と意見交換をするなどさっそく交流が始まった。中には「この日のデモフライトを楽しみに昨夜、深夜2時に現地に着いた。みられてよかった」と感想を話していた。フェスではこの日、デモ終了後に空撮体験会も実施。19日以降、鹿検知コンペティション、シンポジウムなどのプログラムが21日まで続く。

ラポーザとエンルートラボが披露した悪路も走るUGV(陸上ドローン)

特徴は操縦がいらないこと。クエストコーポレーションは監視用に係留するバルーンを公開した

インダストリーネットワークが披露した「電動双発テールシッター機」と呼ぶVTOL機。デモフライトでは、タツノオトシゴのように立ち姿で姿勢を保つホバリングを公開した

インダストリーネットワークの伊藤要CSOが持っているのはVTOLとは別に〝参考出品〟した手筒型ドローン。たけとんぼのように飛ぶ

中村クリエイトエンジニアリングの中村幹男代表が開発したばかりのエンジンドローンを説明。ガソリン1リットルで1時間以上のフライトができるという

次から次へと繰り広げられる刺激的なデモフライトに来場者の目はひきつけられっぱなし。JUIDA鈴木理事長が撮影する姿も(左端)

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