<産経女子特区・その1>ドローンが女性の職域を広げる!?

<産経女子特区・その1>ドローンが女性の職域を広げる!?

産経女子特区では、産経新聞東京本社に所属する女性記者が中心となり、さまざまなテーマを追いかける。今回は女性の進出がめざましいドローン業界で活躍する一人のオペレーターを取り上げる。また女性記者が最新ドローンを体験ルポした。


 体力不足をカバーし、きめ細やかさを引き出してくれる、頼もしい女子の相棒として注目なのだ。5月に政府が発表した新成長戦略素案にはドローンによる荷物配送が盛り込まれ、来年度にも離島や山間部での宅配サービスが認められる見通しだ。労働人口減少への対策が急がれるなか、体力勝負の職場への進出が期待される“ドロンジョ(ドローン女子)”に迫った。

事務職から現場へ 山越え地形計測の頼れる相棒

 車1台がやっと通れる、細い泥道を上りつめた群馬県藤岡市の山中。青々とした尾根に向かいコントローラーを操作する小柄な作業着姿が見えた。自然エネルギーベンチャー「糺(ただす)の森」(本社・東京都千代田区)社員、土方愛玲奈(ひじかた・えれな)さんだ。太陽光パネル設置のための地形計測を行っていた。

 「高度200メートル」。峰の向こうに浮かぶ白いドローンから送られてくる画像を専用ソフトで解析し、起伏などを割り出すのが業務。
 「“あの子”がいなければ、自分の足で山を越えなくちゃいけないんですよ。私がこの仕事をできるのもドローンのおかげです」
 15分ほどで、上空を偵察した機体が戻ってきた。「今日の子はすごく頭がいいので、バッテリーが切れる前に落ちずに自動で帰ってくる」。表情がゆるむ。「かわいいんですよ。『風の谷のナウシカ』(宮崎駿の漫画・アニメ映画)の『蟲(むし)使い』になった気分」
 入社3年目の27歳。営業事務をしていたが、昨年6月にドローン担当に指名された。会社が招聘(しょうへい)したドローン測量の草分け、高見雅之さん(48)の特訓を受け、講習会講師を任されたり、自治体のPR動画空撮を行うまでに腕を上げた。ドローン活用に取り組む「慶応大SFC研究所ドローン社会共創コンソーシアム」にも参加している。
 「インドア派だったのに。子供たちや高校生、自分の父親世代…色んな人たちと出合え、どんどん世界が広がってる。ドローン好きはみんなエネルギッシュで面白い。こうやって取材を受けるのも初めての経験です」

ドローンオペレーターとして活躍する自然エネルギーベンチャー「糺(ただす)の森」社員、土方愛玲奈さん

 ドローンを相棒に人生が激変。きらきらした瞳が充実ぶりを物語るが、これまで決して順風満帆だったわけではない。ベンチャーに就職したのも「一浪・一留で後がなくて…、親のコネで拾ってもらった。感謝しています」と打ち明けた。
 進学校の都立国際高卒業後、「大学に行きたくない、働きたくもない」。「19歳なりの贅沢(ぜいたく)な悩み」を抱えふらふらしていたとき、ミクシィに届いた見知らぬ人からの「タイに行かない?」の誘い。早稲田大の学生による海外ボランティアだった。
 貧しくもたくましい山岳の村で、学生らと教育支援に汗を流すうちに心が整理され、翌年、亜細亜大国際関係学部に進学した。アジア放浪など自分探しの末に留年もしたが、英語、インドネシア語、タイ語を習得。迷いの中で生きる力を蓄えていた。
 「将来は困っている誰かのために、ドローンを通じて役立ちたい。医療や災害救援など可能性は幅広いが、実用化が始まったばかりの今は知見やデータの蓄積が必要。経験を積み重ねた先に、ドローンと一緒に何ができるのか。それを見つけていきたい」

編集後記

 今回取材した土方愛玲奈さんは「ドローンによって社会の常識が変わっていくなかで、自分は何ができるのか」と考えていました。
 ヒントになるニュースを6月の福井新聞で見つけました。“自殺の名所”ともいわれる日本海の断崖絶壁の東尋坊。上空からドローンが自殺志願の女性を追跡し、無事に保護されたとのこと。自殺防止に取り組むNPO法人が前月に導入したばかりだったそうです。
 ちょっとした発想で、思わぬ成果をあげてくれそうなドローン。われわれの取材用にも、会社が一機買ってくれないかな?

9月15日付の産経新聞朝刊「産経女子特区」の紙面

この記事のライター

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