「ドローン×建築」ドローンによる中高層実験住宅(木造)の点検・維持管理実験を公開

「ドローン×建築」ドローンによる中高層実験住宅(木造)の点検・維持管理実験を公開

 国立研究開発法人 建築研究所、芝浦工業大学 伊代田研究室、同 長谷川研究室、一般社団法人 日 本ツーバイフォー建築協会および西武建設株式会社は、ドローンを活用した中高層建築物の点検・維持管理技術に関する実験を、8月22日、茨城県つくば市の国立研究開発法人建築研究所敷地内で公開した。


期待できるドローンによる建築物の点検

 今回の実証実験で使った建築物は、ツーバイフォー工法で建設された、高さ 17m、建築面積 39.85 m²、延べ床 面積 201.75 m²、築 1 年の木造6階建ての実大実験棟を使った。公開された実験は①高所作業車と使って目視や打診検査、②地上からの写真撮影による点検、③ドローンによる写真撮影による点検を順次行い比較するというもの。実験の最後には、現在西武建設が開発中の吹き付けドローンによる建築物の外壁への吹き付け作業も実施し公開した。
 今回の実証実験では、法整備など課題もあるものの、特に中高層建築物の点検作業にドローンは期待できる結果となった。

高所作業車を使った点検

 高所作業車を使用すると近接での目視と触手、打診など精度の高い点検を行った。運用面ではクレーンのオペレーターの技量によるところが大きいことも分かった。作業は全体的に大掛かりで、運用費用は高く、作業従事者が多く必要になり転落事故等作業者の安全面でのリスクも高くなる。状況によってはクレーン車を入れるため、点検建築物周辺の交通規制をかけることも必要になる。

高所作業車による作業は大掛かりとなるが、近接での目視、触手、打診と精度の高い点検ができる。

地上からの撮影による点検

 次に地上からの1眼レフカメラを使った写真撮影による点検作業は、安全かつコストが抑えられ、少ない作業人員で作業時間が短縮されるなどメリットが多い反面、点検の精度では厳しい結果となった。今回のような6階建ての中高層建築となると、撮影は見上げる形となり上層部にいくほど撮影データは歪み、距離があることから画質が劣り精度に問題が生じた。加えて死角が多く、屋根部分は全く点検することができなかった。

今回は45°の確度で見上げるように撮影したが、住宅が近接しているような場所では撮影角度も建築物に寄ることになり精度も落ちる。

ドローンによる点検

 一方ドローンを使用した場合は、作業車に比べ作業人員もコスト的にも抑えられることが分かった。データに関しては、地上からは撮影できなかった屋上部分の写真データも取得でき、高所作業車に比べると精度で若干劣るもののほぼ正確なデータを得ることができた。今回はドローンを外壁から5,5m離し、1m〜1.5m/secの速度で航行させ、1秒に1枚撮影するようにして写真のオーバーラップ率を80%で行った。ドローンもGPSの問題、降雨や強風時は飛ばせないなど課題も残した。今後は様々な建築物を対象に実験を続けるとしている。

飛行に様々な制限があるものの、上部の屋根部分など下からは死角となる箇所も点検できる。高画素カメラを搭載すれば点検精度も高くなると思われる。

吹き付けドローン開発

 公開実験の最後にデモンストレーションを行った、高所でのドローンを使った吹き付け作業実験。
 現在、高所における吹き付け作業は、仮設足場を組み、ゴンドラもしくは高所作業車を使用している。これらにはコストと足場仮設にかかる工期、作業者の転落事故のリスクが発生する。西武建設ではこれまでこのような課題解消に取り組み、吹付け機能を装備したドローンを開発し実験を行ってきた。
 使用したドローンは、バッテリーを外し有線給電方式にして、吹き付け塗料用の2Lタンクを装着、ドローンの外に向けてノズルを伸ばす仕様に改造した。
 機体には外壁との距離を測るレーザーセンサーが装備され、適正距離を2mに設定すると、ドローン背後に装着したLEDの点灯色で距離が確認できるようになっている。緑色が点灯すると適正の2m、外壁に近づくにつれ赤色の点灯が増え、逆に遠ざかると黄色というように操縦者が一目で分かる工夫がなされている。実際に飛行させると、タンクの液量の減り具合や風などの要因によってバランスを取るのが難しく、吹き付けムラもできるなど課題もできた。実験棟のような中高層建築物に塗料などを吹き付ける作業にはドローンの活用は必至となると予想され、今後の改良に期待したい。

課題を解消して研究開発を進める「吹き付けドローン」

「建築×ドローン」市場は未知数

 公開実験に先立って行われた説明で国立研究開発法人建築研究所の宮内博之主任研究員は、建築の分野でドローン活用するには、DID(人口密集地)での運用が不可避となることから法整備の問題をあげるとともに、市場規模として建築分野でのドローン活用は未知数となっていると指摘した。

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