ドローンジャパンの「ドローン米」プロジェクト リモートセンシング旭川ルポ

ドローンジャパンの「ドローン米」プロジェクト リモートセンシング旭川ルポ

ドローンを活用した農業で日本の土づくりを世界に発信するドローンジャパン(東京都千代田区)が、2017年度に推進する「ドローン米」プロジェクトを知るため、ドローンジャパンの春原久徳会長と勝俣喜一朗社長が稲作と畑作の生育調査を行うドローンによるリモートセンシングの現場に同行した。


 同じ小麦畑で今回は固定翼機によるセンシングも行った。
 機体は仏Parrot社傘下のSenseFly社製の「eBee」。機体はEPPフォーム、カーボン構造の2翼タイプで重量630グラムと軽量。約50分間の飛行が可能。前述のSEQUOIAを内蔵できる機体になっている。
 飛行計画を入力し、機体のキャリブレーション終えたら離陸準備は完了。
 eBeeの離陸は、両翼を掴んで数回機体を揺らすと加速度センサーによりモーターが起動、そのまま空中に放り投げるようにするだけなので、滑走路などが要らないため省スペースで飛ばすことができるというメリットがある。

固定翼機eBeeは、勝俣さんが上空に向かって放り投げると(写真下)、センシングの開始地点に向かって自動で飛行していった。手前のドローンは、ebeeの離陸を動画撮影する市川範之さん操縦のInspire2。

eBeeに内蔵されたSEQUOIAが見える。

 フワッと機体が浮くと、後は決められた航路に向かって飛び、自動航行に移行してくれる。飛行高度は120m、速度は9.4/secで34haの小麦畑の上空を30分ほど飛行した。SEQUOIAも機体に連動し、撮影できる機体の姿勢に対応するため正確なデータ取得が可能だ。SOLOに比べると長時間の飛行が可能となるため、広範囲のセンシングには最適だ。
 着陸は胴体着陸となるため、機体への衝撃を考え、このフライトでは離陸させた付近の小麦畑の中に着陸させた。

 このあと3カ所の小麦畑をSOLOによるリモートセンシングをしたが、午前中で予定通り終了させる素早さだった。
 勝俣さんによるとデータは翌日までに解析され、小麦の生育状態や乾燥度などが分かるという。小麦の生育状態を可視化することで、追肥する箇所などが一目瞭然となる。収穫時期も逃す恐れがなくなるという訳だ。

 美瑛の農協ではこれまで衛星画像を使い、広い範囲で同様の情報を取得していたが、天候によるデータ取得タイミングのズレ、データ解析までの時間がかかるといったデメリットがあった。ドローンだと欲しい時にデータ取得でき、データ解析時間もかからないなどメリットがある。さらに広範囲を撮影して必要な部分を抜いてくる衛星と違い、必要な範囲を低高度で撮影するドローンは、データが高精細で、細かい部分まで分かるのは大きい。農家にとって収穫時期の決定は死活問題となっている。これまでは広い畑の一部を見て、小麦を手で揉んで乾燥具合を経験から判断していたわけで、今後はデータによる管理が一層進むと考えられる。

SOLOの離陸を見守る勝俣さん。

ドローンを使った無農薬有機栽培で健康な米作りを実践する市川農場

農薬や化学肥料に頼らない稲作がおこなわれている水田をセンシングするSOLO。稲の間にミズアオイが繁茂しているのがわかる=7月21日、旭川市西神楽の市川農場

 篤農家・市川範之氏が経営する市川農場は、旭川市街から車で30分程の場所にある。大雪山系の清冽で豊富な水を使った米作りは慣行農業が中心だが、一部の水田でドローンを使った農薬や化学肥料に頼らない有機栽培を行っている。
 市川さんに「有機栽培の水田と慣行農業による水田とは一目瞭然です」と言われので、確かめると、一見してその違いが分かった。まず見た目の様相が違う。
 農薬を使っている水田は、稲が整然と育ち、水田の中だけでなく周囲の畦道にも雑草をほとんど見出すことがない。一方農薬を使わない水田は稲の間に稲とは明らかに違う雑草が繁茂し、一見、雑然としているものの、何か“自然”な印象を受ける。実は稲の間の草は雑草とはいっても、きれいな水にしか育たない「ミズアオイ」であるという。ミズアオイは戦前なら何処の水田にも見られたが、今や環境省のレッド・データ・ブックで絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。現在では希少な植物で、市川農場では8月ころ青紫の美しい花をつけるという。有機栽培を行っている田圃の健康のバロメーターともいえるだろう。

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