入門者限定! 「ドローンテクニカルチャレンジin仙北市」の熱気を現地レポート 学生の部の優勝は国学館高校、準優勝は青山学院大

入門者限定! 「ドローンテクニカルチャレンジin仙北市」の熱気を現地レポート 学生の部の優勝は国学館高校、準優勝は青山学院大

ドローン入門者が腕を競う「第1回ドローンテクニカルチャレンジin仙北市」が7月22日、23日に、秋田県立田沢湖スポーツセンターで行われました。22日には学生の部の競技が行われ、ドローン歴2年未満の真剣勝負に、会場は一体となって応援しました。選手、運営、会場が一体となって白熱した現地のようすをレポートします。


左右に移動、超えたり、くぐったりと変化に富むコース 入門者向けでもルールの運用は厳格

 ドローンテクニカルチャレンジは、ドローンの普及・啓蒙と、ドローン人材の育成、可能性の拡張を目指して創設された、国内初の入門者向けの競技会。すでにバリバリに運用しているヒトは出場できません。ドローンをはじめたばかりの仲間にスキル向上の目標を与えたり、楽しさと可能性を実感したりする機会にすることが目的で作られました。
 コースは体育館の中に、タテ15メートル、ヨコ14メートルに仕切ったコートをつくり、その中にルートが設計されています。ポールを左右によけたり、バーを超えたりくぐったり、隙間を通り抜けたり、柱をぐるっとまわったり、決められたルールに従ってドローンをフライトさせるルートです。スタートからゴールまでのタイムを競いますが、途中にクマ人形や負傷者人形などがを撮影ポイントとして設置してあり、撮影がうまくいけば所定の時間を差し引いてもらえるボーナスがあります。反対に、コースを離脱したり、ルールに違反したりすると、所定の時間を加えるペナルティがあります。
 22日に行われた学生部門は、原則5人のチームで参加する形式です。選手はドローンを操縦するプロポをバトンがわりにして、所定の交代ポイントで次の選手に手渡して交代します。各チームが2回ずつ競技をし、その総合点で順位を競います。競技会なので不公平がないように審査は厳密で、大会の運営者は何度かルールを念入りに説明しました。

選手全員が集まったところでルールの再確認。入門者向けとはいえ、競技である以上、ルールは厳密に適用される

左右、上下など入門者が基礎力を試すことを考えて設計されたコース

予想外の好タイム続出! ドラマもあり会場全体が選手を応援 

 学生部門に参加したのは、秋田県内の高校、大学、専門学校の生徒、学生で編成された5チームと、青山学院大学の学生によるチームの6チーム。競技がはじまると、各チームの第一競技者がスタートにつき、「5」からはじまるカウントダウンのたびに、会場にかけつけた近隣の住民、学校関係者、父兄が息をのんで行方を見守る光景が印象的でした。
 最初に競技にのぞんだのは、秋田県立大曲農業高校の男子生徒5人(3年生3人、2年生2人)。1回目の競技では、8分の持ち時間の中、2分21秒でゴールまでたどりつき、会場から大きな拍手が沸きました。その後、専門学校、秋田コアビジネスカレッジの「秋コアファイターズ!」、秋田県立大学のチーム、大曲工業高校のチーム「Mー4」が次々と持ち時間を余裕であまらせる好タイムを連発すると、大会本部からは「もっとグダグダになるかと思っていたのに」と入門者の適応力に舌を巻く声が聞こえました。
 会場がさらに沸いたのは5番目に登場した青山学院大学のチーム。写真撮影によるボーナスをさしひいて圧倒的な44秒をたたき出し、会場から「おおっ」という声が上がりました。ところがその直後、6番目に登場した国学館高校がそれをしのぐスピードでコースを周回。ゴール直前で、焦りからか操作を誤って接触させ、再フライトをさせルアクシデントが発生。それでも全体で青山学院につぐタイムでゴールし、2巡目のフライトの激戦を予想させました。
 2巡目では、大曲農業高校チームがコースアウト。その時に、ドローンを仕切りのネットにひっかけてしまい、絡まったネットをはずしたり、期待を再調整したりで大幅に時間をロス。4分ほどかけて立て直すと、諦めずに再度フライトを開始しました。この姿に会場からは「持ち時間内にゴールさせたい」という、祈りのようなささやきがあちこちから聞こえました。結局、持ち時間以内にゴールさせることができ、会場からは大きな拍車があがりました。このあともチームの絆を確認するプレーが続出。注目の青山学院大学チームは2巡目も好タイムを出しましたが、最後の国学館高校が1巡目に見舞われたようなアクシデントもなく、さらに圧巻のフライトと、見事な競技者交代の連携をみせて逆転。会場は興奮に包まれました。

5,4,3,2,1とカウントダウンをし、0と同時に時間の計測が始まる=22日、秋田県仙北市の田沢湖スポーツセンター

区切られた隙間をくぐりぬけるコースもある。いくつのチームがここで接触をおこした

おそろいのユニフォームで出場し、元気な声を出して会場を盛り上げた秋コアファイターズ!の競技の様子

「楽しかった」「出場してよかった」と選手から充実のコメント ドローンで地方創生を

 2巡目でネットにからませるトラブルに見舞われながら時間内にゴールをした大曲農業高校は、協議終了後に話しかけると全員が「楽しかった」と晴れやかな笑顔をみせてくれました。ドローンの練習は過去に2回だけ。自分で所有しているわけではないので、学校にある機体で練習できるときだけで、今回のテクニカルチャレンジが3回目だったそうです。
 チームリーダーである大日向勇人さん(3年)は、「学校で行われたドローンの講座を見て興味がわいて、大会に出てみたいと思って参加しました。みんなもそうです」。ここで聞いていたチームメイト全員がうなずきました。
 大日向さんは「おもしろそうだから、というそれだけで参加しました。もちろん上位入賞ができたらうれしかったとは思いますが、そうでなくても十分楽しかったし、出場してよかったと思っています。この先にドローンをどう使うのか、といったことを具体的に考えているわけではないですが、農業機械として農薬を散布したり、生育状況を確認したりするのに使えるという話を聞いています。自分も農業に進むつもりなので、そのあたりのことも頭の片隅において使い方を考えていきます。来年の大会にも、出てもらいたいし後輩にも伝えていきたいと思います」と力強く話してくれました。
 準優勝をした青山学院大学は、年下のライバルが多い中で安定したフライトをみせつけていましたが、実は未経験者ばかり。第一競技者だった大槻純萌(あやめ)さん(3年)はMAVICを背負って会場入りしましたが、「競技用の機体であるファントムには始めて触りました」といいます。リーダーの吉村陸希さん(3年)は「こういう入門者向けの大会が増えれば、ドローンが普及するためによいと思います。今後は他の大学チームとの連携もしてみたいし、うまくあれば海外のレースにも出場してみたい」と話してくれました。
 優勝をした国学館高校のチームを率いた理科の先生、吉田雄太さんは「1巡目のゴール直前でアクシデントがありましたが、あの生徒はチームでは最も信頼される選手。最もプレッシャーのかかる最終競技者について自分で名乗り出た責任感の強い生徒でもあります。そのため1巡目のアクシデントのあと本人はかなり落ち込んでいました。でもまわりの生徒が励ますなどしてサポートして、本人も気持ちを切り替えて2巡目にのぞめました。結果として優勝もできたうえ、生徒達の絆も再確認できました。生徒たちはこの大会で大きく成長したと思います」と目を細めました。
 国学館高校の出場には「ドローン×環境」をテーマに研究に取り組んでいます。吉田先生は「たとえばドローンで空撮をすることにより、河川のゴミの流れ着き具合などの状況が把握できたり、草木の生育状況が分かったりします。身近な問題を掘り下げることが大切だと思っています。せっかくドローンを始めたのなら、きちんと使える技能も高めよう、ということで参加しました。今回の優勝でいい報告ができます。これがテーマの研究のはずみにもなると思います」と話してくれました。
 ドローンテクニカルチャレンは実行委員会が主催し、秋田ドローンコミュニティー、仙北市、株式会社skyerが共催しています。skyerの代表取締役、宇佐美孝太さんは、「入門者向けの大会としてこれからも続けたいと思っています。またこの事業が地方創生の一助になればいいと強く思っています。第2回、第3回と回を重ねていくと思いますが、いずれ地元の方々が企画し、運営し、スポンサーを募り、成功を収めるようになっていけばうれしいです」と話しました。23日には一般の部の個人戦が繰り広げられます。
また今回のドローンテクニカルチャレンジには、自然災害や遭難など非常時に迅速に、的確に、安全にドローンを操縦することで、生命を守ることを含めた活用の可能性を探る目的もありました。そのため「ドローンであなたの大切な人を助けませんか」をテーマに掲げ、コース内の撮影ポイントも、仙北市で被害報告が後をたたないクマの剥製をおいたり、遭難者の人形を置いたりと工夫がありました。今後も開催の意義付けを継続する予定です。

ドローンテクニカルチャレンジ学生部門結果(順位とチーム名)
優勝 :国学館高校
準優勝:青山学院大学
第3位:秋田県立大学
第4位:M―4(大曲工業高校)
第5位:秋コアファイターズ!(秋田コアビジネスカレッジ)
第6位:大曲農業高校

ドローンタイムズでは7月12日に告知しました。
https://www.dronetimes.jp/articles/1655/edit

会場の場所を示す「第1回ドローンテクニカルチャレンジin仙北市」のポスター。自然災害などでドローンを使って命を救う願いがテーマに込められている

出場選手全員で記念撮影。みんなが検討を称え合いました

この記事のライター

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