国内の主要な産業用ドローンが集まった「空の建機展」

国内の主要な産業用ドローンが集まった「空の建機展」

 東京ビッグサイトで7月20日から開催されている「空の建機展」には、ドローンによる測量や点検などのソリューションを提供する国内サービスが集まっている。21日まで。


空の建機とi-Constructionをテーマに14社以上が出展

 メンテナンス・レジリエンス TOKYO 2017展の中に設けられた「空の建機展」とi-Constructionをテーマにしたコーナーに、国内でドローンによる測量や点検などのソリューションを提供する企業が出展した。その中で、特に注目した14社が以下のようになる。

みるくる・・・ドローン搭載レーザースキャナシステム
トプコン・・・TSトラッキングUAS
ジオサーフ・・・senseFly社UAVシステム製品
エアロセンス・・・エアロボ測量2.0、エアロボマーカー
テラドローン・・・ドローン測量
ジツタ/ビィーシステム・・・非GPS環境下でのドローン誘導システム
ブイキューブロボティクス・ジャパン・・・全自動運用ドローンシステム
国際航業・・・ドローン測量
三信建材工業・・・非GPS環境に対応したドローン
快適空間FC・・・レーザー測量システム
日本UAV利用促進協議会 / ミツイワ / セベック・・・ドローンスクール
日本海洋・・・LiDAR搭載ドローン、ドローン給電
西武建設/芝浦工業大学 伊代田研究室・長谷川研究室・・・吹付ドローン
デンソー・・・可変ピッチ型ドローン
(順不同)

デンソーの可変ピッチ式ドローン

 今回の展示会では、主にi-Constructionに対応したドローンによる測量と、点検業務に利用できるドローンの撮影システムを展示する企業が多かった。その中で、注目すべき2社が非GPS環境下で安定したドローンの飛行を実現するテクノロジー。
 まず三信建材工業の非GPS環境に対応したドローンは、ACSL(株式会社自律制御システム研究所)製の機体に高性能なレーダースキャナを搭載し、前方と上部の障害物を検知して、対象物から3m以内にドローンが接近しないように制御する。高性能なセンサーによる衝突回避により、60mの橋脚を5mの距離から点検飛行を行った実績もある。

ACSL製の機体に高性能なレーダースキャナを搭載し非GPS環境に対応した三信建材工業のドローン

 ジツタの非GPS環境下でのドローン誘導システムは、測量機器と反射プリズムを組み合わせてドローンを自動飛行させるシステムだ。このシステムでは橋梁下やトンネルなど、GPSの位置情報があてにならない空間でも、測量機器がドローンの位置をリアルタイムで計測する。その位置情報を元に自動航行システムを制御して、プログラムされた速度と高度と位置を維持しながら、安定して飛行できる。ジツタが独自に開発したドローン誘導システムは、現在はDJI製ドローンの一部で機能するが、今後はオープンシステムなどにも対応していく計画だ。詳しくは、改めて紹介する予定だ。

ジツタの非GPS環境下でのドローン誘導システム

充実してきたドローン測量とi-Construction対応ソリューション

 i-Construction対応ソリューションを充実させてきたエアロセンスは、自動測位GPSマーカーの「エアロボマーカー」を組み合わせた新しいドローン測量のエアロボ測量2.0を紹介していた。
 エアロボマーカーは、RTK精度のGPS機能を搭載した対空標識。内蔵バッテリーで約6.5時間の連続動作が可能なエアロボマーカーは、ドローンで撮影した写真と地上標定点データをクラウドへアップロードするだけで、i-Construction基準を満たした3次元データを作成する。

エアロセンスの自動測位GPSマーカー「エアロボマーカー」

 快適空間FCは、ドローンに搭載するphoenix社製レーザー計測システムを展示していた。ベロダイン社製のLiDARとphenix社の開発したリアルタイムの点群データ処理システムを組み合わせた測量システムで、計測と同時に画像データへのマッピング処理を行い、正確な3次元データを作成する。約1600万円というシステムで、ドローンに搭載するだけではなく、車に搭載したり手持ちでも測量は可能。同社では、販売だけではなく同システムを使った測量作業も請け負っている。

快適空間FCが輸入販売するphoenix社製レーザー計測システム

 ニコン・トリンプルは、2年前から展開しているSKY-Mapperという写真測量と3次元計測システムを展示していた。機体は、台湾製のドローンを独自にカスタマイズしたもので、4本のアームに8枚のプロペラを搭載している。各アームのプロペラは、それぞれ反対方向に回転するので、通常のクアッドコプターに比べてアームの振動が抑制され、安定した空撮が可能になるという。また8枚のプロペラによりミラーレス一眼カメラとジンバルを搭載できるペイロードも確保されている。飛行の離着陸は自動化され、一定の高度になると着陸用の脚も水平に開く。フライトコントローラーは独自開発のもので、専用のアプリで飛行ルートや撮影方法などを設定できる。システムはトータルで約300万円以上になる。

ニコン・トリンプルのSKY-Mapperで使われるドローン

ドローン関連の新技術やアクセサリに新モデル

 測量や点検などのソリューションとは別に、ドローン関連の新たな技術やアクセサリなどを紹介している展示ブースもあった。
 ブイキューブロボティクス・ジャパンでは、ドローンの完全自動運用を実現するDRONEBOXに加えて、開発中のAIソリューションも展示していた。将来的には、DRONEBOXとAIによる画像解析を組み合わせて、ドローンの飛行から点検撮影に異常ポイントの発見までを完全に自動化するソリューションを構築していく計画。

ドローンの完全自動運用を実現するブイキューブロボティクス・ジャパンのDRONEBOX

 ジオサーフは、senseFly社のUAVシステム製品を紹介していた。今回の展示では、senseFly eBeeシリーズの最新モデルや、構造物の点検に最適なドローンとして、V字型のクアッドコプターを出展していた。

senseFly eBeeシリーズの最新モデル

 日本海洋では、LiDARセンサーを搭載したDJIのMatrice600を約1千万円という価格で紹介していた。標準的なLiDAR計測システムに比べて、コストパフォーマンスに優れたパッケージになっている。また、Inspire 1用の有線給電システムを紹介していた。高度63mまで対応できる軽量の給電ケーブルと電源システムのセット。Inspire 1の約18分という飛行時間を飛躍的に伸ばすシステムで、空撮を業務にしているプロダクションや撮影機材ベンダーからの問い合わせが増えているという。近く、新しいシステムも輸入販売の計画があり、そちらと合わせて後日、詳細をレポートする。

LiDARセンサーを搭載したDJIのMatrice600を約1千万円で販売する日本海洋

 IT輸入商社のサイバネテックは、Pix4Dmapperの国内販売を紹介していた。先ごろ、3D RoboticsのSite Scanのエンジンとして採用されて話題になった測量システムのPix4Dだが、サイバネテックでは約110万円の恒久ライセンスの販売や、期間限定のスポット販売などを手掛けている。クラウドサービスではなく、オフラインで高性能なPCで独自に処理したいという顧客ニーズに応える販売システムを提供している。

実用段階に入った国内のドローン測量と点検システム

 各社の展示内容や提案されるソリューションから、ドローンによるi-Construction対応の写真測量は、実用段階に入ったと感じた。また、ベロダイン社製のLiDARを利用した3次元測量システムも、価格というボトルネックはあるものの、それを上回る付加価値や作業効率の改善、また従来の測量では不可能だったエリアのデータ化など、魅力あるソリューションを提供し始めている。そして、非GPS環境下での自律飛行に向けた取り組みも、様々な技術を組み合わせて解決に向けたシステム構築が試されている。このままのペースで研究や開発が進めば、半年以内には実用的な橋梁点検システムも数多く登場してくるだろう。
 今後、ドローンによる空撮測量が実用段階を迎えると、課題となってくるのは、保守管理になる。現在の規定では、一年ごとに撮影機材の点検整備が求められている。そのため、空撮に利用するカメラは定期的なメンテナンスが必要になる。ドローンとカメラが分離されている場合には、それぞれに必要な整備会社に機材を預ければいいのだが、機体とカメラが一体となっている場合には、点検整備の問題が起こる可能性もある。こうした課題も踏まえて、測量や点検用のドローンのさらなる進化が期待される。

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