熱気に満ちた第5回ドローントークPIT「ドローン×ジモトノチカラ」 田村市、那賀町、skyerの取り組みは

熱気に満ちた第5回ドローントークPIT「ドローン×ジモトノチカラ」 田村市、那賀町、skyerの取り組みは

 ドローンタイムズは7月14日、「ドローン×ジモトノチカラ」をテーマに「第5回ドローントークPIT」を開催しました。異なる立場の論客3人が思いの込もった発表を披露すると、ファシリテーター・ササモモさんの問いかけをきっかけに、満席の客席から積極的な発言が相次ぎ、会場は異常なほどの熱気と笑顔で満たされました。


満員の会場で乾杯から 異なる現場体験持つ3人のゲストが熱弁!

 ドローントークPITは、登壇者も参加者も飲み物や軽食をとるカジュアルなスタイルで、ゲストの発表をベースに意見交換し、理解と愛着と交流を広めることでドローンの普及を進め、関わる人々の化学反応を促し、住みよい社会の構築に寄与することを目的とした、〝雑談系交流会〟です。これまでに「ドローン×ガテン系」、「ドローン×女子力」など独自にテーマを設定してきました。
 この日のテーマは「ドローン×ジモトノチカラ ~飛ばせ!地方創生の好循環へ~」。ゲストとして、知名度の低さを自虐ネタとして逆手に取りつつ、ドローンによる地域活性化に取り組む福島県田村市の副市長、皮籠石直征(かわごいし・なおゆき)さん、人口9000人を割り込む町でドローンを活用したイベントを次々に実現させている徳島県那賀町の地域おこし協力隊員、喜多幸治さん、鳥取県に本社を構えながら、ドローン体験会やドローンの活用法を地域のみんなで考えるワークショップ「ドロンソン」を全国各地で開催して人材育成を通じたドローンの啓蒙と地域活性化を目指している株式会社skyer(スカイヤー)の宇佐美孝太さんの3人をゲストにお迎えしました。
 個性あふれる実力派の3人をたばねたのは、株式会社AiRの共同創業者で経営企画と広報を担当し、女子力でドローンの魅力を発信する普及活動を推進している「ドローン女子」の代表、ササモモさん(佐々木桃子)さん。ファシリテーターとしてゲストの魅力を引き出しながら、全国で活躍する自信の経験もふまえたコメントも織り交ぜ会場を盛り上げました。
 現場で活躍している生の声が聞かれる場とあって、会場には約60人が詰めかけ、満席となりました。

満員札止め状態となったドローントークPITの会場=7月14日、東京・千代田区大手町

地元県立高校生へのドローン講習が突破口 若者の夢、高齢者の健康、経済を育む

 冒頭に乾杯を交わすのがドローントークPITの恒例行事。
 この日もササモモさんの乾杯の音頭で、参加者同士があいさつをしたり、参加の動機を共有したりすることからスタートしました。暑かったこの日はビールを手に取る方が多かったようです。未成年もソフトドリンクを手に、乾杯の輪に加わりました。
 トップバッターとして登壇した福島県田村市の副市長、皮籠石さんは、田村市の紹介から切り出しました。
「田村市の知名度は、全国1000の市の中で966位です」
「知名度向上のためのポスターがこれ。女性のうなじで『ムラっとたむら』」
「面積は品川区の20倍。でも人口は品川区の10分の1」
 ひとつひとつのエピソードで会場の笑いを誘うと、「打開のため、営業活動をしにやってまいりました」と前置きをして、「私は経済産業省から7月に派遣されました。ミッションは田村の魅力を発信して田村を元気にすることです。そのために大事なことは3つ。第1に若者の夢、笑顔をつくること、第2にアクティブシニアが健康的に暮らせること、第3が経済活性化すること。最先端技術に触れたり、学んだりすることが重要ではないかと考え、ドローンに着目しました」と核心に迫り始めました。
 田村市は昨年12月、ドローン研究に力を入れる慶大SFC研究所・ドローン社会共創コンソーシアム(古谷知之代表)と連携協定を締結し、取り組みが具体化します。その第一段が人材育成で、市内にある福島県立船引高校では、在校生向けにドローン特別講座を開催。31人の生徒が足かけ4か月間に6回にわたり、慶大特任助教の南政樹氏をはじめ、コンソーシアム研究員らから知識と技術の始動を受けました。
 生徒たちは基礎技術、知識を身に付けたうえで、①空撮、②レース、③社会課題解決の3班ごとにテーマを設けて実習を積み、3月の修了式では、各班がそれまでの取り組みの成果を生徒の前で披露。6月10日には市民に向けた発表会も催されました。こうした取り組みを、ドローンタイムズもこの間、取材をし続けてきました。折に触れ、地元紙も取り上げるなど話題にもなりました。
 皮籠石さんは「生徒が成長し、メディアでも取り上げられることで働く意識が強まり、さらに上を目指す意気込みが育まれたと感じています」と話しました。
 9月9日に市内の田村市運動講演で、若旦那、三戸なつめ、Ms.OOJAら著名アーティストが登場する野外フェス「ONE―NATION」が開催される予定で、皮籠石さんは「ここでも船引高校でドローンを学んだ生徒達に、ステージを空撮してもらうなどして活躍してもらおうと考えています」と話します。
 ・ONE―NATION:http://onenationmc.jp/tamura/
 ほかにも、田村市の職員を対象としたドローン研修、ドローンの研究活動拠点整備計画、市民、企業、研究者をまきこんで地域活性化を目指す「田村市ドローンコンソーシアム」(仮)創設計画、全国のドローンを学ぶ中高生が集うプロジェクトーなどドローンを使ったあの手この手が検討されていることを披露し、「これらの取り組みをひとつひとつ積み重ねてジモトノチカラを引き出せば、地方創生につながると信じています」と話しました。
 皮籠石さんの発表後、ファシリテーターのササモモさんが、「6月の市民向けの発表会には私も伺って、生徒徒の空撮作品を拝見したのですが、ほんとうに思いがこもっていて、感動して泣きそうになったことを覚えています。やらされているんじゃない、やりたくてやっている。その熱意がジモトのチカラを育むのだろうと確信しました」とコメントをしました。

トップバッターとして登壇し、田村市の取り組みについて話す福島県田村市の皮籠石直征副市長。

田村市の知名度向上を目指す「ムラっと田村。」のポスター(笑)。行政もここまでやってる。1000市中、966位も武器にする。・・・ここにはドローンは出てきません

「どうせなら誰もやっていないことを」で数々のドローンの取り組み

 2番手で登壇登場したのは、徳島県那賀町の地域おこし協力隊員、喜多幸治さん。ど派手なハッピで登場すると会場から歓声があがり「芸人枠です」と自己紹介するなど、まずはビジュアルから会場の心をつかみました。
 喜多さんが活躍している那賀町は、周囲が海に囲まれる四国の徳島県にありながら、海のない内陸の自治体で、人口減は深刻です。那賀町では、死亡数が出生数を上回る自然減も深刻ですが、それよりも、他の自治体への流出が、他の自治体からの流入を上回る社会減の影響のほうがより影響が大きいと分析し、現在、流出減、流入増の取り組みを強化しています。
 こうした取り組みの一環として、ドローンによる地域活性化を進めています。
 町役場には昨年4月、それまでの「企画情報課」が「ひと・まち・しごと戦略課」に切り替わり、その中に「ドローン推進室」が設置されました。
 ・那賀町ドローン推進室:http://nakadrone.com/
 那賀町はこれまでに、ドローンについての講演会、講習会、体験会、アイデアソンなどの開催、徳島県による「徳島県版ドローン特区」制定、人口減少を食い止めるまちおこしを描いたPRドラマ『若葉のころに』制作、林業や輸送の実験、10月6日の「ドローンの日」の制定、高校での講習、那賀町オリジナルドローンの導入、ドローンレース四国予選の実施と、ドローンを活用した取り組みを次々と実施しています。これらの取り組みの導火線となったのが、喜多さんによる、ドローンの活用の熱い主張でした。
 「ドローンを飛ばしている人なら当時からいました。ただ、それを地域おこしにはしていませんでした。当時は、ドローンを地域おこしに活用する人はどこにもいなかったんです。検索しても当時は全然ひっかかってこない。でもぼくはドローンを見たときに、ピンと来たんです。どうせやるなら、誰もやっていないことのほうがおもしろい。そう思って、当時募集していた地域おこし協力隊に応募しました。そういっているぼくが、自分のドローンを買ったのは先月です(笑)」
 「2年半にわたって活動して分かってきたことがあります。第1に、おもしろいことをおもしろがってやっていると、おもしろい方に出会えます。だからきょうもおもしろい方に誘っていただきました(運営側に目配せ。会場笑)。第2に、ドローンを動かすのに、年齢は関係ない。那賀町でも78歳の方が、自分よりも積極的で、奥深いところにもどんどん進んでいきます。ドローンも上手に飛ばしています。ぼく、負けてます」
 那賀町の名物であるジビエや、景勝地、名所などドローンの宣伝もぬかりなく、最後は「那賀町は意志決定が早いです。実証実験もできます。ぜひ那賀町でドローンを飛ばしてください」と締めくくりました。
 ファシリテーターのササモモさんは、「喜多さんの魅力で那賀町に行ってみたくなりました」とコメントしたあと「実は、ドローン女子で那賀町を取材したことがある、はぴさやちゃん(高橋早矢歌さん)がきていま~す」と会場のはぴさやさんに駆け寄りました。マイクを渡されたはぴさやさんは「那賀町では温泉が素晴らしかったことが印象的でした。ドローンを使って地域を盛り上げようとしている方々がいることを知ったのは、那賀町に出かけたときがはじめてでした。東京、秋田など全国から『おもしろそう』といって人が集まってきていて、それを見てドローンの可能性を感じました」と感想を述べ、那賀町の魅力を喜多さんにかわってPRしました。

徳島県のドローン“特区”那賀町で、ドローンを使った地域おこしをすすめる喜多幸治さん。名刺には那賀町の農村舞台で演じられる人形浄瑠璃や名物ジビエがあしらわれている。よくみると、人形にプロペラが

那賀町のポスター。国家戦略特区ではありません。ちゃんと読んで下さい。めざしているんです(笑)。左下にはしっかりと「徳島県版ドローン特区」をアピール

参加者まきこむ〝ドロンソン〟 「地元が積極的に参加してこその地方創生」

 最後に「ドローンの可能性をすべての人に」を掲げ、全国でドローンの教育事業、啓蒙事業を進めているskyerの宇佐美さんが登壇しました。
 宇佐美さんが展開する「ドロンソン」は、宇佐美さんが手掛けるドローンの活用方法を参加者みんなで考えるワークショプで、3月下旬に千葉・幕張メッセで開催された国内最大の展示会「Japan Drone2017」で行われた「Best of Drone Award 2017」で「審査員特別賞」を受賞している、注目企画です。
 7月8日には、秋田県を走る第三セクターの鉄道会社、由利高原鉄道で車両を貸し切って「ドローン × 鉄道 = 鉄道の未来」をテーマに開催しました。
 「とあるドローン活用に力を入れているという特区に出かけたときに、特区なのにドローンが動いておらず、取り組みもなされていない現実を目の当たりにしました。そこで自分たちにできることがないかと考えたことが、ことのはじまりです」。そこから体験会、ドロンソンなどを中心に、全国をかけめぐっています。
 間近のイベントとしては、7月22日(土)、23日(日)に、「Drone Technical Challenge in 秋田県仙北市」が予定されています。ドローンを活用した遭難救助技術を競うことを目的に、会場に設置した障害物をよけながら指定ルートをフライトさせて、きめられた撮影をしたりするなどのルールが決められています。学生部門は5人1チームの対抗戦、一般部門は個人戦で、学生部門4チーム、一般部門20人が出場を予定しています。
 ・Drone Technical Challenge in 秋田県仙北市:http://www.dtc.life/
宇佐美さんはイベントを開催するだけでは限界があると感じています。「こうしたイベントも、他府県の人が運営を続けていては継続が難しくなります。ジモトの人が積極的に参加しないと地方創生は難しい。そこで私達は、ジモトの方々に協賛金の募集や、大会運営をして頂く取り組みを進めています」。
 ドローンを活用した地方創生の取り組みについて、宇佐美さんは「ある地域で地方創生が実現したとしても、それをそのまま自分のジモトに持ってきて成功するとは限らない。したがって、小さくていいので、色々な施策をやってみて、組み合わせて、そのジモトにあった事業を継続していくことが大切だと思っています」と話しました。
 ファシリテーターのササモモさんは、「宇佐美さんは、決めてからやるまでのスピードが早い。これからドローンを取り入れてみようかな、と考えていて、たとえば授業を導入してみたい、などとお考えであれば、宇佐美さんに相談してみてはいかがでしょうか」とコメントをしました。
 今回のドローントークPITでは、会場からの質疑応答、参加者から会場への短時間告知である「ライトニングトーク」への参加希望が相次ぎ、予定時間を大幅に過ぎても熱気が冷めない催事となりました。その熱気は、後半の立食形式の交流会にもそのまま引き継がれ、会場のあちらこちらで、名刺を交換したり、記念撮影をしたりする場面がみられました。
 ドローントークPITは8月は夏休みで、次回は9月22日(金)の開催予定です。

「ドロンソン」の活動を通し地方創生を考えるskyerの宇佐美孝太社長。

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