日本の空に300機のIntel製ドローンを飛ばす仕掛け人~富田直美氏~

日本の空に300機のIntel製ドローンを飛ばす仕掛け人~富田直美氏~

長崎のハウステンボスで、日本初となるIntel製ドローンのShooting Star 300機によるライトショーが7月22日から15日間、開催される。現時点で世界一のドローン エンターテイメントを日本で実現した仕掛け人が、株式会社hapi-robo st(ハピロボ)代表取締役社長の富田直美氏。実現までの経緯を訊いた。


ラジコンの「神」が出会ったドローンの衝撃

日本初となるIntel製ドローンのShooting Star 300機が夜空に舞うライトショーについて話すhapi-robo st代表取締役社長の富田直美氏

 富田氏は自らをラジコン業界の「神」と称している。30年以上のキャリアがあり、ラジコン カーレースのプロチームのリーダーや、世界の協会の初代チェアマンも勤めてきた。「私はラジコンで陸海空を熟知してきた」と話す富田氏は、飛ばすために高度な技能と多額の投資が必要だった昔からラジコン ヘリコプターも操縦してきた。そんな富田氏がドローンと出会ったのは2013年。Amazonがドローンで物流に挑戦しているという話題に対して、自身が寄稿しているコラムで「真説」を執筆するために、経験してみようと思い立った。そこで、DJIのF550という組み立て式のドローンを手に入れる。「経験していない人間に、その技術や製品を語る資格はない」という信念を持つ富田氏は、F550が届いたその日にアクションカメラのGoProを取り付けて多摩川の河川敷で飛行させた。その印象は「こんな馬鹿馬鹿しい話はない」と振り返るほど、ホバリングや操縦の簡単さに物足りなさを感じたという。しかし、その退屈さが飛行後に一変する。「家に帰ってきてGoProに録画されている空撮映像を見て感動した」と富田氏。それからドローンによる空撮の魅力に取り付かれ、独自にFPV(一人称視点の飛行映像)の仕組みを考案したり、ラジコンで磨いた腕で自由自在にドローンを操作して、機会があれば空からの映像を楽しんでいた。そんなときに、かねてから親交のあったハウステンボス代表取締役社長の澤田秀雄氏から、花火を撮ってほしいという依頼を受ける。まだ改正航空法が施行される前で、ハウステンボスという私有地だったこともあり「花火の中に入って写してほしい」という要望にも、機体一機分の保証を条件に引き受ける。その後、澤田氏から乞われて富田氏は、ハウステンボス株式会社 取締役 CTOになり、現在は株式会社エイチ・アイ・エス取締役 CIOも兼務している。

世界一のドローン開発を目指す中でインテルの「Drone 100」に注目

 ドローンの空撮に魅了された富田氏は、一方でドローンによる物流には否定的だ。その理由の一つが、一日に数百の宅配をドローンが担うようになると、空が黒くなるほど飛び交うことになり「ありえない」という。緊急搬送などの可能性はあると指摘しつつも、富田氏が興味を抱くドローンの利用がエンターテイメントの分野だった。そこでハピロボでは、国内から優秀な人材を集めて「世界一のドローン開発」を目指した。その成果が、長崎のハウステンボスにある「変なホテル」の開所式が行われた2015年7月に登場したラジコンカー付きのドローンだった。ハウステンボスの澤田氏からの要望もあり、ハイブリッドな物流ドローンを製作した富田氏だが、その一方で2015年当時は「100機のドローンを飛ばすこと」が大きな目標となっていた。そのために、開発に必要な技術をリサーチしていたが、2016年3月に米国インテルがリフォルニア州パームデザートで行った100機のドローンによる「Drone 100」プロジェクトの情報を知る。「インテルのドローンに関する動向は、以前から注目していましたが、Shooting Starの記事を読んだときに、これは自社で開発するよりも、むしろこのドローンを日本で飛ばすべきだと考えたのです」と富田氏は振り返る。
 国際的なコンサルタントであり、これまでに数多くのIT系外資系企業の日本法人の代表を務めた経験を持つ富田氏は、デジタル技術に精通しているだけではなく、ビジネスの感覚や価値判断にも長けている。その経験から、数百機のドローンによるエンターテイメント飛行を自社で開発するよりも、「まずは世界一を経験すること」が必要だと判断した。そして、Shooting Starを日本で飛ばすための活動を本格化させたという。

ディズニーでもユニバーサルでもなくハウステンボスで飛ばす意義

 インテルのShooting Starは、すでに米国をはじめとして世界の著名な都市でパフォーマンスを披露してきた。その中でも、昨年のスーパーボールでレディ・ガガの背後で描いた星条旗や、米国オーランドにあるディズニーワールドで行われたエンターテイメントは有名。こうした背景から、日本でShooting Starが披露されるとしたら、ディズニーランドやユニバーサルスタジオなどの著名な商業施設になるのではないか、という推測もあった。しかし、国内外のIT企業に広い人脈を持つ富田氏は、ハウステンボスという地の利と知名度で、インテルの協力を取り付けた。「何よりも世界一のエンターテイメント ドローンを日本の人たちに見てもらいたかった。そして感動してもらいたかった。いずれは、ディズニーランドやユニバーサルスタジオでも、Shooting Starが飛ぶかも知れないが、日本初はハウステンボスで実現することが重要だった。そして、300機のドローンを飛行させるという世界一の技術やノウハウをハピロボのスタッフに吸収してほしかった」と富田氏は話す。現時点で、インテルはShootihg Starによる編隊飛行に関する技術などは、外部に公開していない。その世界最先端の制御技術をハピロボのスタッフは、今回のエンターテイメントを通して経験し習得する機会がある。それこそが、「世界一のドローン」を目指す富田氏にとっては、重要な意義があるという。
 「ドローン ショーは、7月22日から8月5日まで行われますが、初日と最終日は花火大会との共催です。ですから、Shootihg Starに興味のある人たちには、ぜひ7月23日から8月4日の間にハウステンボスに足を運んでもらいたい。そして世界一のエンターテイメント ドローンに感動してもらえることを願っています」と富田氏はショーの開催に向けた抱負を語った。

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