「ドローンムービーコンテスト2017」グランプリ・佐々木光洋さん 「ドローンは世界を再発見するツール」その1

「ドローンムービーコンテスト2017」グランプリ・佐々木光洋さん 「ドローンは世界を再発見するツール」その1

第2回目となるドローンムービーコンテスト2017で、グランプリに輝いた佐々木光洋さんに受賞作品の制作での苦労や、ドローン空撮の魅力についてうかがった。


「Kanlaon Volcano(Canlaon) Aerial shoot」 ドローンムービーコンテスト2017受賞作品 

 鬱蒼としたジャングル、密林の奥の滝、アジアの湿度が伝わる映像の先には険悪な山肌が現れる。音楽がピークに達すると画面いっぱいに、まるでえぐられたような巨大な火口が口を開いて迫ってくるようだ。株式会社NAVA代表取締役でドローン映像作家でもある佐々木光洋さんが制作した圧倒的な映像展開には説得力があった。

「ドローンは世界を再発見するツール」

 第2回目となるドローンムービーコンテストの発表が行われたのは3月25日、千葉市の幕張メッセで開催されていたジャパン・ドローン2017初日のオープンステージ上だった。フィリピンの火山をテーマにした「Kanlaon Volcano(Canlaon) Aerial shoot」の映像でグランプリに輝いた佐々木さんは「ヒルなどに食われるなど山頂へのアプローチは大変だったが報われた」と優賞楯を手に受賞の喜びを語った。
 ドローンの魅力について尋ねると「ドローンは世界を再発見するツール」と話してくれた。

グランプリに輝き、楯を手に喜びを話す佐々木光洋さん=3月23日、千葉市の幕張メッセ「Japan Drone 2017」

後日改めて作品やドローンについてお話をうかがう機会を得た。
ーあまり知られていないフィリピンの火山を、作品のテーマにしたのは何故か。
 「海外未経験の山友達でもある友人と、どこか行こうと考えていたところ、たまたまフィリピンのセブ島行きの航空券が手に入った。そこから登れる山を探すとセブの西側にあるネグロス島のカンラオン火山に行き当たった。それまでは名前も知らない山でした」
 いろいろ調べたがこの山に関する情報は少なく、ましてや過去にドローンを飛ばした情報は皆無だったという。分かったのは登山には、入山証とガイドが必要であることぐらいだった。
 「じゃあドローン持って行く」と決め、海外初体験の友人と、未知の山、それも標高2400メートルを超える火山へと2015年7月、旅立った。

道なきジャングルに分け入る(安東正吾さんのヤマレコから)

ヒル地獄とPhantom 2を入れた15キロのザック

ードローン担いで、見知らぬ山の頂きへのアプローチは困難だったのでは。
 「まずガイドや取り付きの村を探すのにも一苦労しました。麓の村で1泊して翌朝午前7時半にはガイドと一緒に登り始めました。日本とは違い登山道なんてものは整備されてなく、ほぼジャングル。前夜のスコールのためヒルが大量発生しえらい目に遭いました。ズボンの中にまで入ってくる始末でガイドと友人の3人でお互いにヒルを取り合いました」
 このヒル地獄の中、佐々木さんはテントなどの登山装備の他に、ドローンとしてPhantom2と満充電のバッテリー4個を入れたザックを背負った。全体で15キロ近くの重量になった。とはいえ同行した友人の安東正吾さんが「ヤマレコ」(※1)に上げている記録によると、昼過ぎには標高2465メートルのカンラオン山頂上に到着しているので、かなりハイペースだったことがわかる。

※1)「ヤマレコ」の山行記録は以下でご覧になれます。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-656026.html

カンラオン山頂でドローンを飛ばす佐々木さん(安東正吾さんのヤマレコから)

ー頂上でドローン空撮を敢行したわけですね。
 「頂上まではバッテリー温存のため飛ばさなかった。頂上で約18分間、2回飛ばしました。巨大な火口はGoProの画角(魚眼)に合っていました」
 そのあと、途中テントで1泊してから翌日無事に下山した。

頂上で火口をバックに記念写真を撮る佐々木さん(右)と安東さん(安東正吾さんのヤマレコから)

試行錯誤の編集作業を経てストーリー感じられる作品に

ー受賞作品の編集はどのような手順で行ったのですか。 
 「私の場合は、まず音を決めてから編集に入ります。今回は曲の専門のライブラリーの中から応募規定通りの3分のものの中から選択しました。それから曲のクライマックスにメインのカットを軸に持ってくるようにして、間をどう埋めていくか決めていくという考え方で編集していくのがスタイルです」
 今回の編集作業は試行錯誤がつづいたという。仮版ではオープニングのシーンを登山前日の日中に撮影しておいたジャングルの映像から入ったが、インパクトが弱かった。そこで最初からメインに考えていたカットから「バンッと出しちゃって」ジャングル、滝というシーンから徐々に盛り上げる。曲のクライマックスで予定通りメインの火口のカットを使うことで、よりストーリーが感じられる作品になったという。

火口を覗き込むように撮影するが、全体像をフレームに入れ込むことができない(安東正吾さんのヤマレコから)

ドローンを使うことで新たな発見に遭遇

 これまでに無い視点から見る事の出来るドローンは、佐々木さんの言う通り「世界を再発見するツール」であるところに大きな魅力があり「定番と思える観光地でもドローンから見ると新しい発見がある」と話してくれた。今回の作品のテーマとなった一般にほとんど知られていない火山は、ドローンによる迫力ある映像が世界のドローン空撮サイトによって知られることとなった。
 これをきっかけに佐々木さん自身も、世界最大級のドローン空撮サイト「AirVūz」(※2)に上げた作品の再生回数が25万回を記録し、香港を拠点とする絶景ドローン映像会社「AES(Aerial Entertainment Studio)」(※3)では日本人として初めて登録パイロットに認定されることになった。
 カンラオン火山は佐々木さんの登頂から4カ月後火山活動が活発化したことを理由に登山禁止となり、翌2016年6月には噴火した。現在でも登山は禁止されたままとなっている。

 次回は佐々木光洋さんの映像制作の軌跡やドローンへの思いなどを、その他の作品などを紹介しながら報告します。

※2 世界最大級のドローン空撮サイト AirVūz
https://www.airvuz.com/video/Kanlaon-VolcanoCanlaon?id=5843927246327f7e7bd7de6f

※3 香港拠点の絶景ドローン映像会社 AES(Aerial Entertainment Studio)
   HIRE A PILOTに佐々木さんが登録パイロットの1人として掲載されている。
http://www.aerial-entertainment-studios.com/

頂上からキャンプサイトへ向かう(安東正吾さんのヤマレコから)

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