飛ばすだけではない 業務システムとの連携を踏まえた日立システムズの「ドローン運用統合管理サービス」(2)

飛ばすだけではない 業務システムとの連携を踏まえた日立システムズの「ドローン運用統合管理サービス」(2)

ITサービス企業の日立システムズが提供する「ドローン運用統合管理サービス」は、撮影代行から画像の解析や加工、データ保管・管理、業務システムとのデータ連携までを一貫して支援する。サービス開始からわずか半年で、100件を超える問い合わせがある。それは、単純に飛ばすだけではない、ITサービス企業ならではのサービスにあった。


厳格な安全基準を設けた撮影代行とネットワークの多重化送信による高速処理

 日立システムズのロボット事業推進部の曽谷英司氏は「安全管理者の設置と徹底した機体整備を義務付けて、安全に配慮した飛行計画を立案して提供するという当社ならではの運用体制がお客さまに安心感を与えています」と語る。
 同社のドローンによる撮影代行では、3名で1チームを構成し、フライト制御と空域周辺の状況にも配慮した飛行計画を作成する。さらに「万一の落下時には、フライトレコーダを自社で解析し、安全かつ高品質のドローン空撮を提供します」と曽谷氏は補足する。そのため、同社の空撮で推奨する機体は、フライトログの解析ができるドローンコード(ArduPilot)を搭載したエンルート社製を中心にしている。「現在、DJI製品についても当社の運用基準に合わせたフライトログを取得できるかどうか、研究中です」と曽谷氏。
 また、ドローンによる空撮では、対象となる建造物や土地など、1回の飛行で数百から数千枚の画像データを撮影する。データをアップロードするにも、データを3D加工するにも膨大な時間がかかっていた。そこで、同社は海外で実績のある画像処理ソフトウェアをクラウド上に展開して高速処理を実現。また、ネットワークの多重化送信による高速転送も可能にした。

インタビューの行われた会議室で、いつも持ち歩いている小型ドローンのデモフライトを披露する日立システムズのロボット事業推進部の曽谷英司氏。「実際にお客様の目の前で飛ばして、スマートフォンに転送した画像や動画を見ていただくと、小型のドローンでも綺麗な絵が取れるので、産業用ドローンによる空撮や点検の現実味を実感してもらえます」

実用化の進むi-Construction対応と原料ヤードでの在庫量計測

 同社ではこうしたサービスの特長やこれまで各業種で培った業務ノウハウを生かしながら日立グループとも連携し、事業によって多彩なサービスを展開している。例えば、巨大構造物の設備点検などでは、高性能なカメラによるひび割れや塗装はがれなどの発見、大規模な火災や土砂災害などの現場における災害状況の把握。さらに、赤外線カメラを搭載して農地を撮影することで、数センチ単位の生育変化を観測でき、収穫量の安定化支援に利用可能だ。
 その中でも、特に実用化が進んでいる用途が、i-Construction対応と原料ヤードでの在庫量計測。i-Construction対応ではドローンを活用した測量により、従来の光波測量に比べて20万平方メートルの範囲で、工数・工期が50分の1に削減できると見込み、現場での実証実験も行っている。
 また、製鉄所などに野積みされている鉄鉱石や石炭などの原料の在庫量を計測、管理するサービスを、日立ソリューションズと連携して提案している。原材料の山をドローンで撮影し、その画像を元に原料の体積算を出し、在庫量の計測・管理が可能になる。
 今後、同社ではさらに、営繕分野におけるドローンやICTを活用した点検作業、3次元データの一元管理なども研究していく。「ドローンで撮影した画像データをもとに、ディープラーニングなどを活用して劣化や前回との差分を抽出し、AIで自動的に劣化箇所を判別する研究にも取り組んでいます」と曽谷氏。日立システムズでは、ドローンによって収集されるビッグデータが、AIと連携して新たなITサービスを展開する構想を描いている。

 日立システムズは、3月23日から幕張メッセで開催されるジャパン・ドローン 2017に出展する。
 http://japan-drone.com/